関西発の食品スーパー・コノミヤ ── 地域の同業を買って束ね、関西から東海へ広げる

1957年創業の関西発の食品スーパー・コノミヤ(創業家・芋縄家のオーナー企業)。ハローフーヅ・トミダヤ・スーパーおくやま・エスアンドエスなど地域の同業を子会社化・吸収合併し、関西から東海へ広げる『ロールアップ型』の拡大で、グループ売上は約1,188億円・約108店に。純資産は約36億→82億。ただし食品スーパーは薄利の商売だ。決算公告と登記から読む。

Compalyze 編集部分析対象株式会社コノミヤ

関西発の食品スーパー・コノミヤ ── 地域の同業を買って束ね、関西から東海へ広げる

この記事のポイント

  • コノミヤは、大阪・鶴見を本拠とする食品スーパー。1957年の前身(セルフサービスの店)に始まり、1962年に「スーパーグループ」として共同仕入れ・実務指導の機構を立ち上げ、1971年に株式会社コノミヤとなった。会社概要では売上高約1,188億円・約108店(関西70・東海20・岐阜18)。
  • 拡大の柱はM&Aである。2011年に名古屋のハローフーヅを吸収合併して東海へ進出し、トミダヤ(岐阜)・スーパーおくやま(奈良)・エスアンドエス(岐阜)などを買収・統合してきた。地域の同業を買うことは、その土地の商圏・固定客・仕入れ・人材ごと引き受けることでもある。
  • 食品スーパーは薄利多売の業態だ。コノミヤはその薄利を、共同仕入れで支えてきた。原点の「スーパーグループ」に加え、2020年にはCGCグループへ加盟し、地域スーパーでありながら全国規模の商品調達ネットワークを使える立場にある。

1. 大阪発、売上1,188億円・108店の食品スーパー

コノミヤは、大阪を地盤とする食品スーパーマーケットである。本社は大阪市鶴見区(放出)。その始まりは1957年、創業者が開いた当時としては珍しいセルフサービスの店にさかのぼる。一度は火災で店を失いながら、1962年にスーパーマーケット事業として再起し、1971年に株式会社コノミヤが設立された。現在は、創業家の流れをくむ芋縄隆史氏が代表を務める非上場企業である。

いまや、その商圏は大阪にとどまらない。会社概要によれば、売上高は約1,188億円、店舗は関西70・東海20・岐阜18の計約108店にのぼる(数値は2025年8月時点・会社開示。グループの範囲によっては、これより大きい売上が報じられた時期もある)。大阪・兵庫・京都・奈良の関西圏から、愛知・岐阜の東海へ――地域に密着し、毎日の食卓を支える、暮らしのインフラのような商売だ。決算公告と登記簿、各社の開示から、この地域スーパーがどう広がってきたかを追う。

コノミヤの歩み ─ 関西発の食品スーパーが、地域の同業を買って東海へ(Compalyze Journal)

2. 原点は「共同仕入れ」── 束ねる発想

コノミヤの拡大を理解する鍵は、その原点にある。

1962年に立ち上げられた「スーパーグループ」は、単独店舗のチェーンというより、スーパーマーケットの実務指導と商品の共同仕入れを担う機構として始まった。小さな店が個々に仕入れるより、まとめて仕入れたほうが安く買える――食品スーパーは、この調達の規模がそのまま競争力になる業態だ。コノミヤは創業の早い段階から、店を「束ねる」発想を持っていた。

その発想は、いまも続いている。コノミヤは2020年、それまでのオール日本スーパーマーケット協会(AJS)から、CGCグループへと加盟先を切り替えた。CGCは全国の中小・中堅スーパーが共同で仕入れやプライベートブランドを行う、国内最大級の流通グループだ。地域スーパーでありながら、全国規模の商品調達ネットワークを使える――この共同仕入れこそが、後で見る薄利の商売を支える生命線になっている。後年のM&Aによる地域スーパーの取り込みも、この「束ねて調達力を上げる」発想の延長線上にある。

3. 地域スーパーを買って束ねる ── M&Aの軌跡

コノミヤの商圏拡大は、自前の出店だけでは説明できない。地域の同業スーパーを次々と買収・統合してきたことが、登記簿と報道から読み取れる。

決定的だったのが、東海への進出だ。2011年、名古屋を地盤とする地場大手スーパーのハローフーヅを吸収合併し、これが東海事業の母体になった。続いて2015年に岐阜のトミダヤを買収(2020年に吸収合併)、2017年に岐阜・瑞浪のエスアンドエスを買収。関西側でも、2020年に奈良のスーパーおくやまを完全子会社化して奈良へ初めて進出し、2022年には岸和田のサンエーがグループに加わった。注意したいのは、買収(株式取得による子会社化)と、その後の吸収合併(会社の消滅)は時期がずれることだ。たとえばトミダヤは2015年に買収し、2020年に吸収合併している。「いつグループ入りしたか」と「いつ法人として消えたか」は別の出来事である。

食品スーパーのM&Aは、単に店舗数を足す話ではない。スーパーの競争力は、半径数キロの商圏、毎日通う固定客、鮮魚・精肉・青果を回す人材、チラシや値付けの習慣、地域の仕入れ先に宿る。これらは新しい店をゼロから出してすぐに作れるものではない。地域の同業を買うことは、その土地の「買い物インフラ」ごと引き受けることだ。コノミヤは関西の地盤を固めながら、この手法で東海へと面を広げてきた。買収した店の屋号を残すか、コノミヤへ統一するか――地域の固定客を守りつつ、仕入れ・物流・販促・人事をそろえて効率を出す、その統合のさじ加減が、ロールアップの成否を分ける。

4. 取得できた決算でみる成長 ── ただし薄利の商売

事業の広がりは、決算にもうかがえる。ただし手元で取得できた決算公告は単体・各8月期で、間の年度には取得できていない期もある。連続した成長率ではなく、いくつかの時点を点で結んだ姿として読む必要がある。

その範囲では、純資産は2017年8月期の約36億円から、2023年8月期には約82億円へと厚くなった。当期純利益も、2019年8月期には小幅な赤字を計上したが、2022年・2023年8月期には7〜8億円規模へ。総資産も約357億円から約476億円へ膨らんでいる。もっとも、純資産や資産の増加には、買収・合併で取り込んだ会社の事業の上乗せも含まれるため、すべてが本業の自力成長とは限らない。

そして食品スーパーは、一般に薄利多売の業態である。生鮮を中心に薄い利幅で大量に売り、人件費・物流・廃棄ロスを細かく管理して、ようやく利益が残る(取得できた決算公告は単体で売上高が非開示のため、グループ売上と単体利益から同じ範囲の利益率を計算することはできない)。近年は食品価格の上昇で売上は伸びやすい一方、仕入れ・人件費・光熱費・物流費も上がる。生活者の財布に近い業態だからこそ、どこまで価格に転嫁し、どこで安さを守るか――その薄い採算をどう守るかが、スーパーの経営では常に問われる。そこで効いてくるのが、§2でみた共同仕入れの調達力である。

コノミヤの当期純利益と純資産の推移(Compalyze Journal)

コノミヤの総資産の推移(Compalyze Journal)

5. 現場を支える人と、これから

スーパーは、人がいなければ回らない。レジ、品出し、生鮮の加工、発注――社会保険の被保険者数でみるコノミヤの従業員は、約2,900人から直近では約2,970人になっている(パートを含む全従業員はこれより多い。被保険者数は正社員数そのものではない)。買収で店舗が増えれば、現場を担う人も増える。人手不足が深刻といわれる小売の現場で、人を確保し続けられることも競争力の一部だ。

問われるのは、ここから先だ。買収で取り込んだ各地の店を、コノミヤの売り方・物流・仕入れ・販促にどこまで束ねられるか。トミダヤのように屋号を残した店も含め、地域ごとの色をどう活かすか。共同仕入れの調達力で、物価高のなかの薄い採算をどう守るか。そして、芋縄隆史氏が率いる経営のもとで、関西・東海の地域チェーンとしてどこまで面を広げるか。次の決算公告と店舗の動きが、地域の同業を束ねてきたこのスーパーの現在地を、また少し映し出す。

コノミヤの従業員数(社会保険加入者)の推移(Compalyze Journal)


計算方法・データについて

  • 当期純利益・純資産・総資産は単体の決算公告に基づく(各8月期)。2018・2020・2021年8月期など一部の期は公告を取得できておらず、グラフは取得できた期のみで作図した。決算公告は売上高を開示しておらず、本記事に単体の売上推移は含まない。
  • 売上高(約1,188億円)・店舗数(約108店:関西70・東海20・岐阜18)・展開地域は、会社概要(2025年8月時点)の開示による参考値。グループの範囲の取り方により、これより大きい売上が報じられた時期もあり、単体の決算公告とは集計範囲が異なる。
  • 利益・資産の増加には、買収・合併で取り込んだ事業の上乗せが含まれるため、本業の自力成長分とは切り分けられない。
  • 従業員数は社会保険の被保険者数(被保険者数は正社員数そのものではない)に基づく推計。
  • M&Aの経緯は各社の開示・報道および登記簿による。ハローフーヅ吸収合併(2011年、東海進出の起点)、トミダヤ(2015年買収/2020年吸収合併)、エスアンドエス(2017年買収)、スーパーおくやま(2020年完全子会社化=奈良初進出)、サンエー(2022年グループ参加)。買収(子会社化)と吸収合併(消滅)は時期が異なる。CGCグループ加盟は2020年(AJSからの切り替え)。
  • コノミヤは非上場で、有価証券報告書による開示はなく、株主構成は非公表。有価証券報告書等で確認できる親会社の情報はない。

ファクトシート

項目内容
商号株式会社コノミヤ
本店所在地大阪府大阪市鶴見区
創業/設立1957年(前身)/1962年スーパー事業/1971年法人設立
決算期8月
主な事業食品スーパーマーケットの経営(関西・東海)
代表取締役社長芋縄隆史
売上高約1,188億円(2025年8月時点・会社概要)
店舗数約108店(関西70・東海20・岐阜18)
仕入れCGCグループ加盟(2020年〜)
純資産約82億円(2023年8月期・単体)
当期純利益約8.4億円(2023年8月期・単体)

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