退職代行はなぜ人を抱えないのか ── 主力17主体、被保険者数は中央値2人
退職代行を使う人は増え続けているのに、事業者はほとんど人を雇っていない。本業として運営する主要17主体の社会保険の被保険者数は、最大13人・中央値2人。決算公告を出しているのも1社だけで、業界の規模は外から測れない。

退職代行を利用した従業員の退職を経験する企業は増えている。それなのに、この業界の事業者はほとんど人を雇っていない。
社会保険の被保険者数を法人ごとに引くと、退職代行を本業として現に運営している17の主体は、そろって13人以下だった。中央値は2人。労働組合が運営する大手の運営会社は0人で、累計6万8千人以上の退職を扱ったと公表している事業者も1人である(この数字は常用雇用の指標であり、実際に働いている人数ではない)。
例外が1社だけあった。退職代行モームリを運営する株式会社アルバトロス(横浜市中区)は、2023年12月の10人から2025年8月には47人まで増えている。1年8か月で4.7倍。ただしその1社は、2026年8月に弁護士法違反の罪で有罪判決を受け、被保険者は13人に戻っている。
この記事のポイント
- 退職代行を本業とする主要17主体の社会保険の被保険者数は、最大13人・中央値2人
- 官報で決算公告を確認できたのは17主体のうち1主体だけ。合同労働組合が運営する主要サービスに至っては、公表された法人番号を確認できず、行政データに接続できない
- まとまった雇用を抱えていたのは、退職代行を本業にしていない会社のほうだった
※ 17主体の被保険者数・決算公告・設立年の一覧は、調査記事にまとめている。本稿はその背景にある構造を扱う。
常用雇用が、どこも極端に小さい

複数の比較サイトのランキングに共通して載るサービスを拾い、各社の公式サイトに書かれた運営者表記から、いま実際に運営している法人を特定して並べた。最大が13人のアルバトロス、次いで退職代行Jobsを運営する株式会社アレスの9人、弁護士法人川越みずほ法律会計と退職代行みらいの株式会社あいゆめが8人と続く。17主体すべてが13人以下に収まる。
看板の大きさと人数は対応していない。株式会社ニコイチは創業2004年でこの業界の最古参にあたり、公称で累計6万8千人以上を支援したとしているが(2026年8月時点の同社公表値)、被保険者は1人だ。労働組合が運営する退職代行SARABAの運営会社である株式会社スムリエと、退職代行ネルサポのネルサポート株式会社は0人。辞めるんですのLENIS Entertainment株式会社も1人である。
被保険者数は従業員数そのものではない。役員も算入される一方、加入要件を満たさない短時間勤務者や業務委託は入らない。短時間労働者でも、所定労働時間・日数が通常の労働者の4分の3以上なら企業規模を問わず対象になり、被保険者51人以上の事業所では週20時間以上などの要件を満たせば対象になる。弁護士法人でも、社員弁護士等が厚生年金の対象になる場合がある。だから「実際に何人が働いているか」の答えにはならない。ニコイチが公称する従業員7名と被保険者1人の開きが、この指標の射程をそのまま示している。
それでも読み取れることがある。2026年8月時点で、この17主体はいずれも13人以下だった。電話をかけ、書面を送り、必要になったら弁護士か労働組合へ渡す。その形なら、常用雇用を増やさずに回している可能性がある。
この分布から外れる会社は、いずれも退職代行を本業にしていない。株式会社アイリス(大阪府吹田市)は73人を抱えるが、同社が2019年に立ち上げた退職代行Jobsの運営表記は現在アレスに移っており、公式サイトに掲げる事業は訪問鍼灸マッサージと老人ホーム紹介だけになっている。退職代行OITOMAを現在運営する株式会社H4は1,066人だが、本業は労働者派遣や職業紹介などの人材サービスである。
そもそも、法人番号から追えない主体がいる
上の図には、有名なサービスがいくつか載っていない。わたしNEXT・男の退職代行を運営する「退職代行toNEXTユニオン」、退職代行トリケシの「日本労働産業ユニオン」、退職代行オイトマが提携する「日本通信ユニオン」。これらについては、国税庁の法人番号公表サイトで公表された法人番号を確認できなかった。ただし「法人番号を持たない」とまでは言えない。法人番号は税法上の届出を出す人格のない社団等にも指定され、その場合は代表者等が同意したときにだけ公表サイトに載るからだ。
いずれにせよ、公表された法人番号をキーに社会保険や決算公告へ接続する方法では追えない。規模を測る手がかりが、外部からは用意されていない。 同じ組合型でも、退職代行ガーディアンの東京労働経済組合や退職代行ローキの労働基準調査組合は公表された法人番号を持っていて数字が引ける。組合型の中で、辿れる主体と辿れない主体が混在している。
株式会社の側も似た状況にある。官報で決算公告を確認できたのは、17主体では1主体だけだった。 元祖である退職代行EXITを引き継いだENTRANCE株式会社が、2025年6月期に純利益▲210万円・純資産58万円と公告しているだけだ。
市場が伸びていると言われながら、その果実がどこにどれだけ落ちているかは、公開情報からはほとんど確認できない。この記事が並べた17主体も、業界の全体像ではない。外から数字を引ける範囲にすぎない。
なぜ小さいままなのか ── 弁護士法72条の「継ぎ目」
本人が決めた退職の意思をそのまま会社へ伝えるだけなら、使者としての伝達にとどまる、というのが実務上広く共有されている線だ。しかし未払い残業代の請求のように権利を主張する場面や、退職日や有給休暇の扱いが折衝になった場面では、話が変わる。
弁護士法72条は、弁護士・弁護士法人でない者を縛る。報酬を得る目的で、一般の法律事件に関する法律事務を取り扱うこと、またはその周旋をすることを、「業とする」ことができない(他の法律に別段の定めがある場合は除かれる)。取り扱う側だけでなく、取り次ぐ側も同じ条文の中にいる。労働組合が交渉できるのは、憲法28条と労働組合法が組合員のために団体交渉する権利を認めているからで、民間企業がその立場を借りられるわけではない。
つまり民間事業者は、依頼者が「交渉」を必要とした瞬間、自分では踏み込めない。弁護士か労働組合へ渡すしかない。ところが渡す行為に対価が発生すると、それが72条の禁じる「周旋」になる。

そして法律は、渡した側だけを見ていない。27条は、72条から74条に違反する者から事件の周旋を受けること(および自己の名義を利用させること)を、弁護士の側にも禁じている。 77条は両方を同じ条に並べ、いずれも「2年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」と定める(本件の行為当時の条文では懲役)。継ぎ目の両端が、同じ重さで罰せられる構造になっている。
この継ぎ目について、東京弁護士会は注意喚起を公表している。業者が本人から代金を受け取ったうえで、法律的な問題になったら提携先の労働組合が対応するという形について、「お金を受け取って、法律的な問題の処理を他者へ斡旋することは、非弁行為です」 とした。同会はあわせて、労働組合が交渉する場合であっても組合の行為が必ずしも非弁行為にならないとは限らない、とも述べている。組合型なら安全、と単純に線が引けるわけではない。
唯一47人まで増えた会社に、何が起きたのか
退職代行を本業にしたまま人を増やしたのは、アルバトロスだけだった。

線は事件の前後で形が変わる。ただし落ち方には特徴がある。2025年10月22日の家宅捜索の直後、数字は動いていない。44人から46人の間で横ばいのまま年を越した。変化が始まるのは、逮捕と起訴があった2026年2月の翌月からだ。42→35→28→21→15→13人。当初の4か月は月6〜7人ずつ減り、その後13人で下げ止まっている。
一時点でまとめて人員を整理すれば、グラフには段差が出る。この形は段差ではない。ただし被保険者数は月初のスナップショットなので、退職日を分散させた人員整理でも同じ形にはなる。どちらだったかは、この数字からは判別できない。
同社は2026年4月1日付で代表取締役が交代し、同月23日に営業再開を発表しているが、被保険者は13人で止まったままだ。ピークからの減少幅は72%にあたる。
47人分の人件費を賄うには、相応の件数を流し続ける必要がある。同社の広報を並べると、その圧力が見える。2022年7月の事業開始告知から2026年4月の経営体制変更まで、プレスリリースは24件ある。うち8件が自社の利用者データの公開だった。「利用者932名分のアンケート」(2023年2月)から「累計利用者15,934名分のデータ・利用された企業情報」(2024年8月)へ。さらに「103回利用された企業を含む業種と利用回数データ」(2025年2月)まで、開示の粒度が上がっていく。
新規事業の告知も6件あった。情報収集の代行、転職支援、自分で退職を伝えるためのサービス、情報開示型コンサルティング、退職者向けサプリメント、保険代理店。いずれも退職代行そのものの収益ではなく、「そこに集まった退職者という母集団を別の商売につなぐ試み」である。このうち転職支援は、国の許可を受けて行う有料職業紹介にあたる。その紹介就職者数は2026年3月期で26人。同社が公表してきた代行の利用者数とは桁が2つ違う。少なくとも転職支援は、この時点で収益の柱にはなっていなかった。
そして、この会社は継ぎ目そのものをめぐって起訴された。 起訴状によれば、2023年6月から2025年2月にかけて、アルバトロス側は弁護士資格がないまま報酬を得る目的で、計174人の依頼者を2名の弁護士に紹介した。報道によれば紹介料は依頼者1人あたり16,500円で、その受け取りは「労働組合への賛助金」や「アフィリエイト広告の業務委託費」といった名目で処理されていたとされる。起訴されたのは同社と当時の社長・執行役員だった配偶者だけではない。
紹介を受けていた弁護士2名と、その弁護士法人2法人も同時に起訴されている。
2026年6月5日、東京地裁は紹介を受けた側の一方、弁護士法人オーシャンの代表弁護士に懲役1年6か月・執行猶予3年、法人に罰金150万円の有罪判決を言い渡した。報道によれば、この弁護士が紹介を受けたのは174人のうち85人で、報酬の名目を仮装することを自ら提案するなど主体的に関与したと認定されている。判決が確定すれば、弁護士の資格を失う。 ただしこの弁護士は控訴しており、判決は確定していない。
そして2026年8月28日、アルバトロス側にも判決が出た。当時の社長に懲役2年・執行猶予3年、執行役員だった配偶者に懲役1年6か月・執行猶予3年、法人に罰金200万円。いずれも求刑どおりの刑期に執行猶予が付いた。報道によれば判決は「利益を優先させて法令順守を軽視したもので、非難を免れない」とし、1年8か月で174人を紹介したことは「弁護士制度の公正な運営に影響を与えかねない」と指摘した。一方で、紹介に至る経緯から被告らのみを責められないとして猶予を付けている。もう一方の弁護士法人みやび側は、報道によれば判決が10月7日に予定されている。
その経緯として報じられた内容は、この継ぎ目の性質をよく表している。きっかけは同業他社との会合で「自分たちでできない法律業務は弁護士に紹介している」と聞いたことだった。紹介が弁護士法違反にあたるとは知らず、顧問弁護士に相談したところ「紹介料ではなく賛助金名目ならいい」と指摘されたという。継ぎ目を渡ってよいかどうかの判断を、渡される側の弁護士に委ねていた。 なお同社は、起訴されたのは紹介料の受領に関してであって、退職代行サービスそのものに司法判断が示されたわけではない、という趣旨の説明をしている。事件後にサービスを一時停止し、経営体制を改めて4月に再開している。
需要は動いた。それでも常用雇用はほとんど増えていない
最大手が扱っていた件数が減れば、依頼はどこかへ流れる。受け皿を取りに行く動きは、日付とともに残っている。

家宅捜索のあった2025年10月22日以降、表題に「退職代行」を含むプレスリリースのうち、退職代行を提供する事業者・弁護士法人が出したものは20件だった。その内訳が業界の反応を映している。
最も多い8件を出したのはサポートメイト株式会社で、2025年2月設立の後発企業だ。同社は2026年5月8日に「GW期間中の退職代行お問い合わせ、過去平均比700%超を記録」と公表している。設立から1年強の会社の自社比なので、母数は小さい。5件を出した弁護士法人川越みずほ法律会計は、家宅捜索の2週間後に「業界激震!」と題した訴訟対応プランの強化を告知した。2026年4月には「退職代行救済プラン」を出した。
事件そのものに向き合った発信もある。弁護士法人石丸・田島法律事務所は逮捕の翌日に、モームリ利用者への救済措置を告知した。退職代行やめたらええねんを運営する株式会社熱狂スタイルは2025年11月21日、「非弁行為ゼロ」の対応策を公式発表している。継ぎ目をどう扱うかが、そのまま各社の売り文句になった。
一方で、17主体のうち12、約7割では、この10か月に条件に合うリリースを確認できなかった。 ニコイチ、SARABA、アレス、ガーディアン、辞めるんです、ヤメドキ、ネルサポ、ヒトヤスミ、みらい、イマスグヤメタイ、EXIT、そして弁護士法人みやび。
ただし、これは受任が動いた記録ではない。各社がそう公表した、という記録である。事件の前後で、告知の内容と頻度が変わっている。サポートメイトの700%超は自社の過去平均に対する問い合わせの比率で、受任件数ではない。確認できなかった12主体についても言えるのは「この期間、表題に退職代行を含むプレスリリースは1件もない」までで、依頼が来ていないことの証拠にはならない。そもそも発信しない会社はある。
それでも、被保険者の側は動いていない。問い合わせが7倍になったと公表したサポートメイトは、2026年7月・8月とも1人。川越みずほは8人、アレスは2025年10月の7人から9人になっただけである。
そしてここに、継ぎ目の説明では届かない事実がある。 川越みずほは弁護士法人であり、交渉も請求も正面から扱える。継ぎ目の内側にいる。にもかかわらず、8人のままだ。継ぎ目を渡れる立場にある主体も、人を増やしてはいない。
組合型については、この比較ができない。退職代行SARABAの運営会社は0人だが、団体交渉を担うのは会社ではなく組合の側であり、組合自身の人員規模はこのデータでは捉えられない。運営会社の数字から交渉主体の規模を判断することはできない。
それでも「継ぎ目を渡れないから雇わない」だけでは、この分布は説明しきれない。設立から日の浅い会社が多いこと、常用雇用を増やさずに回している可能性 ── どれもが同じ結論に効いている。確かなのは、需要が振れても常用雇用の側は動かなかった、という観察までだ。
参入は続き、自主規制は動かない
帝国データバンクが2025年10月に公表した調査によれば、退職代行を手がける事業者は全国に少なくとも52法人あり、その内訳は民間31法人・弁護士法人18法人・組合など3。うち75.0%が設立10年以内、32.7%は設立5年以内だという。
今回特定した17主体も、設立日が判明する14主体のうち13主体が設立10年以内、5主体は5年以内だった。2020年以降に集中し、最も新しいのは2025年設立のあいゆめとサポートメイトである。拠点は8つの都府県にまたがっていた。本人の退職意思を伝えるだけの民間の退職代行に、専用の許認可制度はない。一方で、権利に関わる交渉と、弁護士への有償の取り次ぎには法的な制約がかかる。
業界には自主規制の枠組みがある。一般社団法人日本退職代行協会は2019年に設立され、退職代行事業者を100項目以上の検査項目で審査して認定マークを付与する仕組みを掲げている。だが確認できる範囲では、同協会の公式サイトの更新は2025年1月29日が最後で、事件についての声明や注意喚起は掲載されていない。プレスリリースの配信も2019年の12件で止まっている。会員向けに非公開で何か対応したかどうかは、外からは分からない。
使う側・受ける側、それぞれの実務
ここまでの整理は、退職代行を使う側にとっても、受け取る側にとっても実務的な意味を持つ。
東京商工リサーチが2026年3月末から4月にかけて6,425社に聞いた調査がある。2024年1月以降に退職代行を経由した退職があった企業は全体の8.7%、資本金1億円以上の大企業に限ると21.3%にのぼる。大企業の5社に1社は、既にこの連絡を受け取った経験があることになる。
そのとき、電話口の相手が誰なのかで、会社が応じるべき範囲は変わる。民間事業者は本人の意思を伝える使者であり、労働条件の交渉権限を持たない。労働組合であれば、組合員のための団体交渉として応じる場面が出てくる。弁護士であれば、代理人として交渉や請求を正面から扱える。
依頼する側から見ると、この違いはそのまま「何をしてもらえるか」の差になる。民間事業者に払っても、退職日の折衝や未払い賃金の請求まではしてもらえない。交渉が必要な人は弁護士型か労働組合型を選ぶことになる。料金の水準にもこの差は表れていて、帝国データバンクの調査では、正社員が依頼する場合の最低料金の平均は29,410円、弁護士法人が約44,700円、民間経営が約22,500円。倍近い開きの背景には、扱える範囲の違いもあると考えられる。
利用率の数字を引くときは、分母に注意がいる。マイナビの2024年調査は、正社員で直近1年に転職した人800名を母数に16.6%。パーソル総合研究所が2025年8〜9月に実施した調査は、離職者1,029名を母数に5.1%(調査全体の1,829名には、離職していない就業継続者800名が含まれる)。東京商工リサーチの8.7%は企業を母数にした数字だ。母集団が違うので、そのまま並べて増減を論じることはできない。
この業界は、大きくならないままなのか
退職代行を本業とする17の主体は、そろって13人以下だった。中央値は2人。決算公告を出しているのも1社だけで、合同労働組合が運営する主要サービスに至っては測る手がかりすらない。市場の利用率が上がったと言われる一方で、事業者の側にその形跡が見えない。
理由の半分は、法律の側にある。72条は「交渉してよいのは誰か」を並べた条文ではない。非弁護士が報酬を得る目的で法律事務やその周旋を業とすることを禁じているだけだ。それでも結果として、民間事業者は使者の範囲にとどまるか、対価を取らずに弁護士へつなぐかを選ぶことになる。人を増やしても、扱える範囲が広がるわけではない。
だが残りの半分は、法律では説明がつかない。交渉も請求も正面から扱える弁護士法人が8人という数字は、制約の内側にいる主体すら常用雇用を増やしていないことを示している。
ただしここで言えるのは、「常用雇用を積み上げる形では規模を拡大していない」ということまでだ。業務委託や外部パートナーの人数は、このデータでは捉えられない。「必要な労働量そのものが少ない」とまでは断定できない。
それでも、退職代行が「人を正社員として抱えることで伸びる業態」ではない可能性は高い。制度がその上限を確認しているだけで、業界を小さくしているのは仕事の性質そのものなのかもしれない。
まとまった常用雇用を抱えていたのは、退職代行を本業にしていない会社のほうだった。 アイリスの73人もH4の1,066人も、本業は別にある。退職代行は、単体で組織を大きくする事業ではなく、既存の集客や人材の流れの横に置いたときに機能する事業なのだろう。
唯一47人まで常用雇用を増やした1社は、その後、弁護士への有償あっせんをめぐって有罪判決を受けた。ただし執行猶予が付き、会社は経営体制を改めて営業を続けている。線がどこにあるかは、8月の判決と、10月に控えるもう一方の判決で、いまより一段はっきりする。線が引かれた後に何が変わるかは、事業者たちが人を増やすかどうかに出る。いまのところ、その気配はない。
この記事で使った主なデータ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 退職代行を本業として現に運営している17主体。複数の比較サイトのランキングに共通して掲載されるサービスを候補とし、公式サイトの運営者表記・特定商取引法に基づく表記で現在の運営法人を確認できたものに限った。合同労働組合が運営する主要サービス(わたしNEXT・男の退職代行・トリケシ等)は、国税庁法人番号公表サイトで公表された法人番号を確認できず対象外。業界全体は少なくとも52法人 |
| 社会保険の被保険者数 | 2026年8月4日時点・法人単位。従業員数そのものではない。役員も算入される一方、加入要件を満たさない短時間勤務者・業務委託は含まれない。加入要件を満たす短時間労働者や、弁護士法人の社員・勤務弁護士は含まれうる |
| 決算数値 | 官報に掲載された決算公告 |
| 沿革・法人の異動 | 履歴事項全部証明書および国税庁法人番号公表サイト |
| プレスリリース | 2025年10月22日〜2026年8月26日に配信され、表題に「退職代行」を含むもののうち、退職代行を提供する事業者・弁護士法人によるもの |
| 刑事手続 | 報道各社の記事、および書類送検の報道を受けて東京弁護士会・第一東京弁護士会が出した会長声明 |
| 条文 | 弁護士法27条・72条・77条(e-Gov 法令検索) |
サービス名と運営法人の対応は、各社公式サイトの運営者表記・特定商取引法に基づく表記から特定した。同名の法人が全国に複数存在するため、社名の一致だけでは特定していない。立ち上げ元と現在の運営法人が異なるサービスがあり(Jobsはアイリスからアレスへ、OITOMAは5coreからH4へ)、本文と図では現在の運営法人を採った。なお大阪府内には同名の別法人が複数ある。本記事で扱ったのは大阪府吹田市の株式会社アイリスである。
参考にした主な外部情報
刑事手続の経過は時事通信・日本経済新聞・読売新聞・東京新聞・東京商工リサーチほか各社の報道による。書類送検については、報道を受けて東京弁護士会・第一東京弁護士会がそれぞれ会長声明を出している。非弁行為に関する見解は東京弁護士会の注意喚起による。事業者数・料金は帝国データバンク「主要『退職代行サービス』動向調査」(2025年10月24日)による。利用率はマイナビ キャリアリサーチLab(2024年7月調査)による。ほかにパーソル総合研究所「離職の変化と退職代行に関する定量調査」(2025年8〜9月調査・同年12月発表)と、東京商工リサーチ(2026年3〜4月調査)を参照した。
本文で言及した企業