先週の資金調達(2026年8月15日〜8月21日)— 公表額の9割が2件に、がんの早期発見と会社の後継ぎへ
2026年8月15日〜8月21日に確認できた未上場企業の資金調達は17件・17社。実行済みの公表額は5件・約90.4億円(別途、引受予定499万円が1件)、中央値は2.82億円。がん早期発見のCraif(約53億円)と設立5カ月半で中小企業の連続承継を掲げるHinoki(約31億円)の2件が約93%を占めた。セカンダリーを除き会社側に入る実行済みの金額は約81.4億円。

先週(2026年8月15日〜8月21日)に新たに確認できた、未上場企業の資金調達に関する発表は17件・17社。金額を確認できたのは、実行済みのもので5件・合計約90.4億円(このほかに、引受予定の499万円が1件)。実行済み5件の中央値は2.82億円で、約90.4億円という合計は、がんの早期発見に取り組むCraif(約53億円)と、中小企業の事業承継を掲げるHinoki(約31億円)の2件に大きく押し上げられている。実行済み公表額の約93%が、この2件に集まった。
もう1つ、先に数字を置いておく。Craifの53億円は、概算で増資39億円、融資5億円、既存株主の持ち株売却分(セカンダリー取引)9億円に分かれる。この9億円は会社ではなく売った株主に入る。セカンダリーを除き、借入を含めて会社側に入る実行済みの金額は約81.4億円。公表された案件総額と、会社側に入る金額——この連載では、この2本を並べて見る。上位2件の比率は、会社側ベースでも約92%とほぼ変わらない。
| 調達した会社 | 公表額 | 発表上の引受先・出資者 | 発表に書かれた形 |
|---|---|---|---|
| Craif | 約53億円 | Granite Integral Capital・タウンズ(共同主導)ほか | シリーズD(出資・融資・セカンダリー含む総額) |
| Hinoki | 約31億円 | Dual Bridge Capital・MITの資産運用会社ほか | 第三者割当増資 |
| 脇田コウキ製本 | 2.82億円 | 日本創発グループ | 増資引受(子会社化を決議) |
| AI Dock(旧MedX) | 約2.6億円 | マーソ、医師・起業家ほか | シードラウンド |
| Quantec | 1.0億円 | ごうぎんキャピタル運営ファンド | 第三者割当増資 |
| セカンドハート | 499万円(予定) | MRT | 資本業務提携の基本合意(増資引受の予定) |
| BiPSEE | 非公表 | JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、京都iCAPの各運営ファンド | シリーズA 2ndクローズ |
| Carbon Xtract | 非公表 | 経営陣・フェムトパートナーズとGxPartnersの各運営ファンド・九州大学 | プレシリーズA 1stクローズ |
| Resilire | 非公表 | 住商ベンチャー・パートナーズ | シリーズB 1stクローズ |
| UnlimiTech | 非公表 | ジェネシアとDelta Xの各ファンド・SMBC Edge | シードラウンド |
| ネットオン | 非公表 | クックビズ | 増資引受(連結子会社化を決議) |
| Trash Technologies | 非公表 | みらい創造インベストメンツ(リード)・MIC・フィデアキャピタル | 資金調達 |
| SkyDrive | 非公表 | りそなアセットマネジメント | 第三者割当増資 |
| NINAITE | 非公表 | SOUSHINホールディングス | 資本業務提携 |
| SportsTech Japan | 非公表 | BUNKLE・NEOLABほか | 資金調達 |
| みなと投資 | 非公表 | 日本政策金融公庫・西日本シティ銀行(融資) | 創業期のデットファイナンス |
| 富山空き家再生賃貸 | 非公表 | ヤモリ・日本海ラボ(共同出資) | 共同出資による新会社設立 |

以下、大きい順ではなく、資金の入り方のまとまりごとに見ていく。
53億円の内訳は、増資39億・融資5億・既存株主への9億
がんの早期発見に取り組むCraif(2018年創業、東京都新宿区)は、総額約53億円のシリーズDラウンドを発表した。今週の最大案件である。
この53億円は、第三者割当増資だけの数字ではない。発表は注記で出資・融資・セカンダリー取引を含むラウンド総額だと明示したうえで、内訳も「第三者割当増資及びセカンダリー取引:約48億円」「融資:5億円」と書いている。さらに本文には、既存株主(事業会社)の一部持分の譲渡がセカンダリー取引として約9億円あったとある。セカンダリー取引は、会社が新しく発行する株ではなく既存株主が持つ株を別の投資家へ売る取引で、代金は会社ではなく売った株主に入る。
つまり概算で、第三者割当増資による約39億円と融資の5億円が会社に、セカンダリーの約9億円が既存株主に入る。「53億円調達」という1つの見出しの中に、会社の資本、借入、株主の出口が同居している。

ラウンドは、シンガポールのGranite Integral Capitalと、発表で「迅速診断キットの最大手企業の一社」と紹介されるタウンズ(静岡県伊豆の国市)の2社が共同で主導した。この2社を含む計7社と個人投資家が、第三者割当増資の引受先に並んだ。融資の借入先も具体的で、常陽銀行、東日本銀行、北洋銀行、北國銀行、名古屋銀行の5行と日本政策金融公庫の名前が挙がっている。本店の所在地は茨城、東京、北海道、石川、愛知。5つの銀行が同じスタートアップの貸し手として1つの発表に並ぶのは、この連載でもあまり見ない形だ。
Craifは尿中のマイクロRNAをAIで解析するがんリスク検査「マイシグナル」を展開し、2026年4月には米国サンディエゴに自社ラボを開設、代表取締役CEOも現地へ移住したとしている。今回の資金は米国でのR&D体制とプロダクトローンチ、国内ではすい臓がん向け医療機器プログラムの薬事承認に充てると説明する。創業以来の調達累計は約142億円(出資・融資・助成金の合計)と発表している。
1社ごとに集めるのではなく、先に31億円の買収原資を確保した
Hinoki(東京都渋谷区)は、第三者割当増資により総額約31億円を調達したと発表した。登記上の設立日は2026年3月5日。発表まで5カ月半しかない。
事業は「中小企業の連続的な譲受及び譲受企業の経営支援」。後継者のいない中小企業を連続して譲り受け、売却せず保有し続けることを前提に経営を引き継ぐモデルで、調達した資金はその譲受の原資になる。会社は、借入余力を含めた当面の投資余力を50〜100億円規模と見込むとしている(会社の見込みであり、確定した調達枠ではない)。
発表が自らモデルの核として書いているのは、資金の順番だ。「連続的な承継を実行するには、一社ごとに資金を調達するのではなく、最初からまとまった資本を備えている必要があります」。つまりHinokiは、案件ごとに資金調達するのではなく、先に31億円の資本基盤を作った会社である。31億円の自己資本を先に持ち、そこに借入を組み合わせて50〜100億円規模の企業取得余力をつくる構想で、対象はEBITDA1億〜10億円規模の企業だとしている。
引受先には、Dual Bridge Capitalとかんぽ NEXTパートナーズが並ぶ。加えて、マサチューセッツ工科大学の資産運用会社であるMIT Investment Management Companyの名前もある(発表自身がそう紹介している)。設立から半年足らずの日本の会社の増資に、米国の大学の資産運用会社が引受先として名を連ねた形だ。
登記で確認できることは、まだ少ない。商業登記の受付記録には2026年3月5日の設立があるだけで、31億円の払込に伴う資本金の増加は、8月21日時点の受付記録にはまだ現れていない(発表から登記まで、登記から収録までに時間差がある)。代表取締役の河邑亮太氏について、会社サイトは、三井物産で南米チリの自動車金融会社の社長補佐兼CFOとM&A投資を経験し、2019年からAIスタートアップの代表を務めたとしている。買収と企業金融の実務経験を持つ創業者であることは、会社自身が示している。
増資を併用した子会社化が、2件あった
今週は、第三者割当増資が単独の成長資金ではなく、上場企業による子会社化の一部として使われた発表が2件あった。どちらも上場企業側の適時開示で内容が細かく分かる。
脇田コウキ製本(名古屋市、1941年創業の製本会社)について、日本創発グループ(東証スタンダード・7814)が子会社化を決議した。開示によれば、取得する9,700株(議決権の97.00%)のうち約97%にあたる9,400株が、脇田コウキ製本が新しく発行する株式の引受けで、引受総額は282百万円。既存株主からの譲受けは300株にとどまる(その対価は個別に開示されていない)。開示もこの増資の目的を「自己資本の充実により財務基盤の強化を図る」と書いている。
ネットオン(大阪市、2004年設立。採用マーケティングツール「採用係長」を運営)は、クックビズ(東証グロース・6558)が8月19日の取締役会で連結子会社化を決議した。こちらも既存株主からの株式取得(2,257株)と第三者割当増資の引受け(20,000株)の組み合わせで、取得する22,257株のうち約90%が新株である。異動後の議決権所有割合は71.0%。取得価額は、相手先との守秘義務に基づき非開示とされている。
子会社化の受け皿は「株を買い取る」だけとは限らない。会社に資金を入れながら支配権を取るという形が、製本会社とSaaS企業という毛色の違う2件で同じ週に出た。買い手の資金が既存株主の出口に使われるセカンダリーとは、同じ「株式の取得」でも資金の向きが逆である。
同じ「大学系」でも、出し手の性格は3つに分かれる
今週の発表には、大学に関係する投資主体が3つの違う形で登場した。大学の資産運用会社、国立大学法人そのもの、大学系ベンチャーキャピタルが運営するファンド。いずれも組織としての関係であり、投資の原資が大学の資金かどうかは発表からは分からないが、出し手としての性格はまったく違う。
1つめは前述のHinokiに入った大学の資産運用会社(MIT Investment Management Company)。2つめは、大学本体が直接引受先に並ぶ形だ。CO2を空気から直接回収する膜技術(m-DAC)を手がける九州大学発のCarbon Xtract(福岡市、2023年5月設立)は、プレシリーズAの1stクローズを実施した。引受先には、フェムトパートナーズとGxPartnersの各ファンドに加え、国立大学法人九州大学そのものが並んだ。創業経営陣2名も自ら引き受け、発表によればこの調達に伴う資本構成の変更で経営陣が議決権の過半数を保有する体制へ移行する。同社は設立以来、双日の事業推進力と組んで共同開発を進めてきた会社で、資本の主導権を経営陣側へ寄せる動きと読める。なお発表は、創業株主の双日とは引き続き事業連携パートナーとして協業を継続するとしている。
3つめは大学系ベンチャーキャピタルが運営するファンドだ。うつ病向けVRデジタル療法のBiPSEE(東京都渋谷区)は、シリーズAの2ndクローズとして第三者割当増資を実施し、引受先にはJICベンチャー・グロース・インベストメンツと、京都大学系の京都iCAPが運営する各ファンドが並んだ。今回の払込額は開示されていない。発表にある9.9億円という数字は、NEDOの助成金まで含めた創業以来の累計であり、今回入った金額ではない。この連載では累計額は合計に入れていない。
事業会社・金融グループ・運用会社から
残る案件も、出し手の顔ぶれが幅広い。
事業会社とその投資子会社から。 MRT(東京都渋谷区)は、糖尿病による足病変の重症化予防に取り組むセカンドハート(京都市)と資本業務提携の基本合意書を締結し、第三者割当増資を引き受ける予定だと発表した(総額499万円・発行済株式総数の約1.33%相当)。サプライチェーンリスク管理クラウドのResilire(東京都港区)には住友商事のCVC(事業会社の投資子会社)である住商ベンチャー・パートナーズが、製造業向けAIワークフローのUnlimiTech(東京都港区)にはジェネシアとDelta Xのファンドに加えSMBC Edgeが出資した。全身スキャン×AIの予防医療「AI Dock」を始めたAI Dock(旧MedX)(東京都中央区)は、シードで約2.6億円を調達。マーソのほか医師や起業家が出資者に並び、商号を「Med X」から「AI Dock」へ変更した。
運用会社から。 「空飛ぶクルマ」のSkyDrive(愛知県豊田市)は、りそなアセットマネジメントを引受先とする第三者割当増資を実施した。この発表はFUNDINNOによるもので、同社が仲介・支援(FA)を担ったとしている。
地銀系・地域の資本から。 レーザー加工の条件設計を手がけるQuantec(東京都町田市)は、山陰合同銀行グループのごうぎんキャピタルが運営するファンドを引受先に1.0億円を調達した(2026年4月の調達に続く追加で、大型量産案件に向けた「成長準備資金」だと説明している)。都市鉱山からの資源回収に取り組むTrash Technologies(東京都江東区)は、みらい創造インベストメンツをリードに、モバイル・インターネットキャピタルと東北の地銀系フィデアキャピタルが参画した。野球特化型SNS「Baselink AI」のSportsTech Japanは、BUNKLEなどの事業会社とエンジェル投資家から調達した(いずれも金額非公表)。
地域企業との資本業務提携が1件。 札幌では、建設業向けに外国人材の採用・定着支援を行うNINAITEに、同じ札幌で建設・不動産など多様な事業を展開するグループの持株会社SOUSHINホールディングスが出資した。
新会社設立が1件。 富山では、ヤモリ(東京都渋谷区)と日本海ラボ(富山市)が共同出資して、県内の空き家を取得・再生して賃貸住宅として運用する富山空き家再生賃貸を設立したと発表した(2026年7月に戸建3戸を取得済みとしている)。これは既存の会社への増資ではなく、新会社への設立出資である。
借りて始めた運用会社が1件
福岡市のみなと投資は、株式ではなく融資だけの発表だった。個人向けVCファンドを組成・運営する新興の運用会社が、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」と、西日本シティ銀行を取扱金融機関とする福岡市の制度融資を使って、創業期の資金を確保した。金融・保険業の一部業種がこれらの制度の対象になったのは2023年8月の政令改正以降で、発表は「新興運用会社が両制度を併用した事例は、九州ではこれが初めて」と述べている。
ファンドに出資する側の運用会社自身が、公的な創業融資で自分の運転資金をまかなう。出し手にも創業期があることが分かる発表である。
出し手の属性で並べる
発表に名前が挙がった出し手を、属性ごとに並べたのが次の表である。金額が非公表の案件でも、誰が出したかは発表に書かれているので、どの案件も行が立つ。複数の顔を持つ主体(地銀系のVCファンド、商社のCVC、大学系VCなど)は、その両方に数えている。共同出資による新会社設立(富山空き家再生賃貸)は、既存企業への資金調達と性質が違うため表から外した。
| 調達した会社(形) | VC | 事業会社・CVC | 金融機関 | 大学系 | 公的 | 個人 | 運用会社・PE |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Craif(増資+融資+セカンダリー) | ● | ● | ● | ● | ● | ||
| Hinoki(第三者割当増資) | ● | ● | ● | ● | ● | ||
| 脇田コウキ製本(増資引受・子会社化) | ● | ||||||
| AI Dock(旧MedX)(シード) | ● | ● | ● | ||||
| Quantec(第三者割当増資) | ● | ● | |||||
| セカンドハート(増資引受の予定) | ● | ||||||
| BiPSEE(シリーズA 2nd) | ● | ● | ● | ||||
| Carbon Xtract(プレシリーズA 1st) | ● | ● | ● | ||||
| Resilire(シリーズB 1st) | ● | ● | |||||
| UnlimiTech(シード) | ● | ● | |||||
| ネットオン(増資引受・連結子会社化) | ● | ||||||
| Trash Technologies(資金調達) | ● | ● | |||||
| SkyDrive(第三者割当増資) | ● | ● | |||||
| SportsTech Japan(資金調達) | ● | ● | |||||
| NINAITE(資本業務提携) | ● | ||||||
| みなと投資(融資のみ) | ● | ● |
新会社設立の1件を除く16件のうち、VC・ファンド属性の出し手が登場した案件は9件、事業会社・CVCは8件でほぼ並んだ。金融機関は7件(地銀系VCと、Craif・みなと投資の貸し手を含む)、大学系は3件、公的は3件、個人は5件、運用会社・PEは2件。
目を引く数字が2つある。1つは、出し手が事業会社属性だけだった4件は、すべて子会社化または資本業務提携を伴っていたことだ(脇田コウキ製本とネットオンは上場企業による子会社化、セカンドハートとNINAITEは資本業務提携)。もう1つは逆側で、VCが入った9件すべてに、VC以外の属性の出し手も並んでいた。VCだけで成立した案件は、今週は1件もなかった。
VCの名前が1つもない案件も7件ある。スタートアップの資金調達をVCラウンドの集計として読むと、この7件——上場企業の子会社化、事業会社との提携、運用会社の引受、公的融資——は視野の外に落ちる。属性3つ以上の出し手が並んだのはCraif(5属性)、Hinoki(5属性)、AI Dock、BiPSEE、Carbon Xtractの5件で、金額上位2件が属性の幅でも上位に来た。
調達の前に、登記は動いていたか
17社のうち、直近1年(2025年8月15日以降)に商業登記の受付記録があったのは12社だった。

資本金の増加の登記が発表より先に入っていたのは5社。セカンドハートは2026年5月7日(発表は8月17日)、NINAITEは2025年9月4日と11月12日(発表は2026年8月18日)、富山空き家再生賃貸は2026年6月4日(設立は3月30日、発表は8月18日)、みなと投資は2025年10月14日(発表は2026年8月18日)に、それぞれ資本金の増加が受け付けられている。Quantecの2026年4月6日の資本金増加は、発表が「2026年4月の資金調達」として触れている前回分と時期が合う。セカンドハートの499万円はまだ引受予定の段階なので、5月の登記は今回の発表とは別の資本の動きだ。受付記録には金額や引受先が含まれないため、これらの登記が今回発表された調達と同一のものかは確認できない。
新株予約権の登記は、Resilire(2026年3月2日)、SkyDrive(5月13日)、NINAITE(5月20日)で確認できた。新株予約権の登記はストックオプションの発行でも行われるため、これ自体が調達の予告とは限らない。資本金の減少の登記はBiPSEE(6月15日)とCarbon Xtract(4月9日)にあった。減資は純資産の中での勘定の振り替えで、会社の資金は増減しない。
一方、週の2大案件には資本金の増加の登記がない。Craifの直近1年の受付記録は「その他の変更」が2件(3月26日・6月8日)で、Hinokiは前述のとおり設立の受付のみである。発表から登記まで、登記から収録までにそれぞれ時間差があるため、「登記が動いていない」とは言えない。
Compalyzeのデータで見る(金額判明の6社)
発表の内容とは別に、金額が分かった6社を同じ物差しで並べる。
| 会社 | 設立(登記) | 被保険者数(2026年8月) | 確認できた決算公告 | 純資産 |
|---|---|---|---|---|
| Craif | 2018年5月 | 130人 | 2021年12月期 | 13.50億円 |
| Hinoki | 2026年3月 | — | 公告なし | — |
| 脇田コウキ製本 | 1976年2月(1941年創業) | 30人 | 公告なし | — |
| AI Dock(旧MedX) | 2025年4月 | 1人 | 公告なし | — |
| Quantec | 2024年7月 | 6人 | 公告なし | — |
| セカンドハート | 2019年2月 | 2人 | 公告なし | — |
被保険者数は厚生年金・健康保険の加入者数で、会社の人員規模を見る一つの目安になる(一定条件の短時間労働者や役員も含まれ得る)。53億円のCraifは130人。31億円のHinokiは設立5カ月で、被保険者数のデータはまだない。公表額上位2社は、130人の会社と、設立から半年に満たない会社である。
Craifの決算公告で確認できたのは2019年12月期から2021年12月期までの3期で、純資産は▲0.34億円(債務超過)→3.23億円→13.50億円と増えている(この間の2020年6月に商号をIcariaからCraifへ変更。資本金は2021年12月期に1億円から1,000万円へ減っているが、これは純資産内の振り替えで会社の資金は動いていない)。2022年以降の決算公告は収録できておらず、創業以来の累計約142億円(出資・融資・助成金)のうち株式で入った額がいくらかは、現時点の収録データからは分解できない。それ以降の公告や登記があっても収録できていない可能性がある。
この週をどう読むか
17件のうち、実行済みで金額が公表されたのは5件。その公表額の9割超が2件に集まった。Craifの53億円は出資・融資・セカンダリーを合わせたグローバルラウンド、Hinokiの31億円は会社を譲り受けるための元手であり、同じ「大型調達」でも資金の性格はまったく違う。
90.4億円という合計額より、そのお金が最終的に誰へ渡るのかを見ると、今週の17件はまったく違う顔になる。 Craifの39億円は会社の資本に、5億円は借入として会社に、9億円は既存株主の手元に入る。Hinokiの31億円は、これから買う会社の代金になる。脇田コウキ製本とネットオンでは、買い手の資金の大半が既存株主ではなく会社そのものに入る。みなと投資は借入だけで創業期を組み立てた。成長資金、借入、既存株主の出口、会社買収の原資、子会社化のための増資——すべてが「資金調達」という同じ言葉で発表されている。
この連載が扱う範囲
この連載は、未上場企業が新たに外部から資金を受け入れたことが確認できる発表を対象にしている。今号からは、引受先と金額まで具体的に確定した資金受け入れの予定を確認できる発表も件数に含める。ただし合計・中央値は実行済みの公表額だけで計算し、実行予定額(今週はセカンドハートの499万円・1件)は別建てで示す。週の区切りは土曜0時00分から翌土曜0時00分まで(日本時間)である。
次のものは資金調達として扱っていない。
- 上場企業自身の調達
- 資産の保有などを目的とする特別目的会社への出資(自ら事業を営む合弁会社の設立は含める。今週は既存企業への資金調達16件・新会社設立1件)
- 既存株式の移動だけの取引(今週の脇田コウキ製本・ネットオンは、新株の引受け=会社への資金流入を伴うため対象に含めた)
- 募集の開始や目標額の告知(引受先・金額が確定していないもの)
- 出資・引受・払込の記載がない資本提携の発表(今週はファイナンシャルスタンダードとLキャタルトンの戦略的資本提携がこれにあたる)
調達した会社が日本の法人番号と結び付かない場合は、判断を保留して集計に含めていない。
金額は、その発表で今回調達したと明記された額のみを合計している。累計調達額や過去の発表を参照している額は含めない(BiPSEEの9.9億円は助成金を含む累計のため合計外)。Craifの53億円は、発表が「出資・融資・セカンダリー取引を含むラウンド総額」と定義する額をそのまま公表額とし、会社側に入る金額はそこからセカンダリー約9億円を除いた約44億円とした(このうち5億円は融資)。公表額の多くが「約」付きの概算のため、合計も概算である。会社概要欄に記載された資本金の額は、調達額として扱わない。
登記は商業登記の受付記録で、受付日と登記の種類のみを含み、増資額や引受先・役員の氏名といった内容は含まない。発表から登記まで、登記から収録までにそれぞれ時間差があるため、受付記録がないことは「登記が動いていない」ことを意味しない。
なお今週の集計では、3件を除外している。自社サイトを巡回した時期の都合で、2019年6月付と2026年6月30日付の過去の調達リリースが今週の新着として紛れ込んでいたため、発表日を確認して除いた。また、前週に自社サイトで発表済みだった内容を、プレスリリース配信サービス経由で改めて配信した1件も、重複として除いている。