先週の資金調達(2026年7月27日〜8月2日)— 調達額の裏で、公告はどうなっていたか
先週の未上場企業の資金調達は21件・20社、金額を公表した9件の合計は84.5億円。決算公告を確認できた11社のうち、損益が読める9社はすべて当期純損失で、4社は純資産がマイナスだった。調達額の裏側を公告・被保険者数・登記で見る。

先週、調達した会社自身の発表として確認できたのは 16件。これに、出資した側や支援拠点の運営者だけが発表したために見つけにくい5件を加えると、先週に新たに確認できた資金調達に関する発表は 21件・20社になる。募集の開始やラウンドの一部成立も含んでおり、先週中に資金の移動が完了した件数ではない。うち金額を公表したのは9件で、その合計は 84.5億円。同じ会社が同じ週に別の案件を2件発表した例が1社あるため、件数と社数は一致しない。
調達した会社自身の発表だけに条件をそろえると、件数は7月中旬の11件・14件から16件へと2週続けて増え、金額も直前2週の67.1億円・68.9億円をやや上回った。この系列は上の21件とは母集団が異なる。ただし6月の水準(週22〜40件)には届いていない。2週続けて増えてはいるが、これが継続的な回復かどうかは現時点では判断できない。
以下の推移グラフは、調達した会社自身の発表だけを全週同じ条件で数えたものだ(調達した会社以外の発表から拾った5件は、過去の週について同じ作業をしていないため含めていない)。

先週の調達額ランキング
最大は自動運転トラックの株式会社ロボトラックで、シリーズAラウンドのファーストクローズ(ラウンドの一部を先に成立させる形)としてエクイティ(株式で集めた資金)52.0億円。中心となって投資条件をまとめるリード投資家はJICベンチャー・グロース・インベストメンツ。続く投資家は6社で、スパークス・アセット・マネジメント、三菱UFJキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、Archetype Ventures、Mizuho Leaguer Investment、SMBCベンチャーキャピタルだった。
2位は家具・家電のサブスクリプションを運営する株式会社クラスの13.8億円、3位はアフリカで中古車売買プラットフォームを運営する株式会社Cordia Directionsの6.0億円。上位3社で先週の公表額の約85パーセントを占め、ロボトラック1社だけで約62%にあたる。この週の合計は1社の大型調達に大きく左右された。
金額を公表したのは21件中9件だけで、残る12件は非公表だ。金額のランキングは「先週いくら動いたか」ではなく「先週いくらが公表されたか」を示すものにすぎない。

9件のうち、全額をデット(融資などの借入)として分類できたのは1件(Cordia Directions の6.0億円)だった。ただしクラスの13.8億円のように、1つの発表の中に第三者割当増資と金融機関からの融資を合算した案件もある。「調達額」という1つの数字は、性格の違う資金の合計であることが多い。
なおCordia Directionsは同じ発表で「約15億円のシリーズAの完了」にも触れているが、このシリーズA自体は2025年6月18日に公表されている(同社およびリード投資家のスズキのリリース)。本集計では、重複して数えないよう、先週新たに公表された6.0億円のデットだけを計上した。
誰が出したのか
調達額の次に見るべきは、その金を誰が出したかだ。投資家・貸し手の名前を確認できた社と、募集プラットフォームだけが分かる社を、6つの種類に分けて並べた。

VC・ファンドと事業会社がそれぞれ10社に登場した。金融機関は5社、政府系・公的機関も5社と半分程度だが、無視できない頻度で顔を出している。出し手がVC・ファンドだけという案件は限られていた。
政府系・公的機関だけで成立した案件が1件あった。Cordia Directionsの6.0億円は、日本政策金融公庫と商工組合中央金庫の2者によるデットだ。VCも事業会社も入っていない。
逆に事業会社1社だけという案件もある。Dandelion Chocolate Japan株式会社の1.0億円は東京地下鉄が単独の出し手だった。両社の発表によれば、これは有楽町線延伸で新設される駅の周辺エリアのまちづくりを見据えた資本業務提携で、同社は当該エリアにファクトリー&カフェを出す予定だという。出し手が1社でも、その1社が誰かで調達の意味は変わる。株式会社Scale Technology(広島)は荻野工業・グリーンメタル・新光電気・ドーワテクノス・ワールドサービスの事業会社5社と日本政策金融公庫の組み合わせで、VC・ファンドが1者も入っていない。
株式投資型クラウドファンディングが2件あった。株式会社セカンドハート(京都)の0.1億円はFUNDINNO上の個人投資家50名が引き受けている。DFree株式会社はFUNDINNOでの新株予約権(あとから決められた条件で新株を取得できる権利)による調達の開始を発表した段階で、引受人はまだ確定していない(金額も非公表)。
クラスの13.8億円は、パナソニックくらしビジョナリーファンドを引受先とする第三者割当増資(特定の相手に新株を割り当てる増資)と、静岡銀行・商工組合中央金庫・山梨中央銀行などからの融資の合計だ。同ファンドはパナソニックとSBIインベストメントが共同で運営している。
なお、この分類は投資家名の語句にもとづく機械的なもので、独立系VCと事業会社系のCVCは分けていない(どちらも「VC・ファンド」に入る)。資本関係を確認して分けたものではない。
収録上、確認できた最新の決算公告
ここからがCompalyzeの本題になる。先週に発表があった20社のうち、決算公告を確認できたのは11社。以下は各社で収録できた最も新しい公告で、より新しい公告を取れていない可能性がある。基準となる期も2023年から2025年までばらついており、11社を同じ時点で横並びに比べたものではない。それでも、総資産・純資産・当期純損益の3つで並べると、調達額のニュースだけでは見えないものが出てくる。

20社のうち当期純損益を確認できたのは9社で、その9社はすべて当期純損失だった。残る11社は公告を確認できないか、損益を読み取れず判定できない。決算公告を確認できた会社と確認できなかった会社では、観測される企業の性格が異なる可能性があるため、「調達した会社は赤字ばかり」とは読めない。
そのうえで、純資産比率が10%を下回っていたのが6社、うち4社は純資産がマイナスだった。ここでいう純資産比率は純資産÷総資産で、総資産のうち株主が出した資金と過去の利益の蓄積で賄われている割合を示す(公告からは株主資本と新株予約権などを分けられないため、一般的な自己資本比率とは厳密には一致しない)。
高いほうは株式会社ロボトラックの80.2%。公告は2025年3月期・第1期(総資産3.43億円・純資産2.75億円・当期純損失1.02億円)で、設立の2024年4月から1年足らずの姿だ。この期末の純資産2.75億円と、その約1年4か月後に公表されたエクイティ52.0億円という、日付の違う2つの金額が並ぶことになる。
規模が桁違いなのが株式会社アイ・グリッド・ソリューションズで、2024年6月期(第21期)の総資産は363.20億円、純資産49.89億円、当期純損失26.32億円。2004年設立で被保険者数は155人と、ほかの社とは段階が違う。
反対の端では、確認できた最新の公告の時点で純資産がマイナスだった会社が4社あった。基準となる期は2024年5月期から2025年6月期までで、2026年7月の発表の時点でも同じ状態だったかどうかは、この公告からは分からない。
最も低いのは株式会社クリーンプラネットで、2025年6月期(第13期)の総資産1.00億円に対し純資産はマイナス4.67億円。Dandelion Chocolate Japan株式会社は2024年12月期(第11期)で総資産3.90億円・純資産マイナス1.31億円、Sinumy株式会社は2025年3月期(第7期)でマイナス0.15億円、株式会社TAIANは2024年5月期(第4期)でマイナス0.13億円だった。
純資産がプラスの会社のうち最も小さかったのはDFree株式会社で、2025年8月期(第11期)は総資産5.98億円に対し434,000円、純資産比率0.1%。当期純損失は5.26億円だった。株式会社アジラも2025年12月期(第11期)で総資産6.90億円・純資産0.35億円の5.1%。この6社のうち金額を公表したのはDandelion Chocolate Japanの1.0億円だけで、規模は比べられない。
総資産と純資産を並べると、クラスの姿もはっきりする。2024年2月期(第6期)は総資産12.58億円に対し純資産2.72億円で、純資産比率21.7%。アイ・グリッドを除けば総資産が最も大きいのに、純資産は3億円に満たない。当期純損失は7.88億円で、純資産を上回っている。ただし公告には資産・負債の内訳がないため、何がこの残高を作っているかはこの公告だけでは分からない。同社は今回の発表で、デットを含む累計調達額が114.6億円になったとしている。
公告は、調達より前の時点の財務状態を示す材料になる。ただしこれらの数値だけから、今回の資金使途や調達の理由を特定することはできない。
人は増えていたのか、減っていたのか
決算公告は原則として年1回のスナップショットで、しかも数か月遅れて出る。もっと足の速い指標が社会保険の被保険者数で、こちらは月次で追える。今回の20社のうち17社について、2025年7月と2026年7月の人数を比べられた。

増えた人数が最も多いのはアイ・グリッドの133人→155人(+22人)。増え方が最も速いのはロボトラックの14人→34人で、1年で2.4倍になっている。設立から約2年3か月の会社が今回52億円を調達したという文脈と重なる。クラス118人→137人(+19人)、TAIAN 36人→54人(+18人)も伸びている。
一方で3社は人数が減っていた。株式会社TWOは52人→39人(-13人)で、減少幅が最も大きい。AZUL Energy株式会社が12人→10人、株式会社セカンドハートが3人→2人と続く。TAIANは2024年5月期の公告で純資産がマイナスだった一方、被保険者数は36人から54人へ増えている。時点の異なる2つの指標であり、互いの関係はこのデータからは分からない。
この人数の動きを、今回の調達額と並べてみる。

縦線の右は届出人数が前年同月を上回る時期に発表した会社、左は下回る時期に発表した会社で、増減ゼロの2社は線上にある。金額が最大の2社は人が増える側にいたが、この図に載るのは調達額と被保険者数の両方を確認できた7社だけで、業種も設立年も揃っていない。調達額と人数の間に関係があるとは言えない。個社で見ると、TWOは52人から39人に減る時期に5.0億円を公表している。理由はこのデータからは分からない。
被保険者数は正社員だけを数えるわけではなく、事業所の届出単位で動く。事業所の統廃合や適用事業所番号の変更、出向でも増減するため、同じ会社どうしの比較でも「従業員が増えた・減った」と言い切ることはできない。それでも届け出られた人数が1年前とどう変わったかは、年1回・数か月遅れの公告よりずっと新しい情報だ。
調達の前に、登記は動いていたか
資金調達のリリースが出るタイミングは案件によって違う。払込が終わってからの発表もあれば、募集開始の発表もある。20社を確認したところ、直近1年に登記の受付記録があったのは10社だった。一部の会社では、公表より前に登記が動いていた。

目を引くのは新株予約権の登記だ。登記していたのは6社。Sinumy(2025年8月)、DFree(2025年10月)、UJ-Crystal(2025年12月と2026年3月の2回)、Dandelion Chocolate Japan(2026年2月)、ロボトラック(2026年2月)、Scale Technology(2026年5月)——いずれも今回の公表より数か月早い。新株予約権はストックオプションの発行でも設定されるため、これ自体が調達の予告とは限らない。リリース前に新株予約権の登記があったことは分かるが、それが今回の資金調達に関係するかどうかは、登記の受付記録だけでは確認できない。
もうひとつ、DFreeでは2025年10月1日の1日に、役員・本店移転・機関設計の変更・目的変更・資本の増減・新株予約権を含む8区分の受付があった。決算公告の基準日(2025年8月31日)の約1か月後にあたるが、この登記と公告の内容を結びつける材料は、受付記録からは得られない。同じ日にまとまるのは一連の株主総会決議による場合もある。
図で「役員(変更・重任)」としているのは、この区分が経営陣の交代だけでなく、任期満了にともなう重任(同じ人の再任)も含むためだ。株式会社の役員には任期があり、変化がなくても数年ごとに登記が発生する。役員の登記があったからといって、経営体制が動いたとは限らない。
登記の受付記録からわかるのは「いつ・どの種類の登記があったか」までで、増資額や新しい役員が誰かといった中身は含まれない。それでも、公告が年1回・数か月遅れなのに対し、登記は動いた月がわかる。決算公告と被保険者数と登記を重ねると、リリースの前にその会社で何が起きていたかの輪郭が見えてくる。
先週の全件
| 企業 | 調達額 | ラウンド | 本店 | 設立 | 直近公告 | 総資産 | 純資産 | 当期純損益 | 純資産比率 | 被保険者数(前年同月→直近) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 株式会社ロボトラック | 52.0億円 | シリーズA | 東京都 | 2024-04 | 2025-03(第1期) | 3.43億 | +2.75億 | -1.02億 | 80.2% | 14 → 34人(+20) |
| 株式会社クラス | 13.8億円 | 非開示 | 東京都 | 2018-05 | 2024-02(第6期) | 12.58億 | +2.72億 | -7.88億 | 21.7% | 118 → 137人(+19) |
| 株式会社Cordia Directions | 6.0億円 | デット | 東京都 | 2020-08 | — | — | — | — | — | 2 → 2人(+0) |
| 株式会社TWO | 5.0億円 | 非開示 | 東京都 | 2015-12 | 2025-08 | 6.62億 | +2.87億 | — | 43.4% | 52 → 39人(-13) |
| 株式会社UJ-Crystal | 4.3億円 | 非開示 | 愛知県 | 2021-07 | — | — | — | — | — | 10 → 10人(+0) |
| 株式会社インフラテック・ジャパン・ホールディングス | 2.0億円 | 非開示 | 静岡県 | 2026-07 | — | — | — | — | — | — |
| Dandelion Chocolate Japan株式会社 | 1.0億円 | 非開示 | 東京都 | 2015-05 | 2024-12(第11期) | 3.90億 | -1.31億 | -0.38億 | -33.7% | 47 → 49人(+2) |
| Asclepath株式会社 | 0.3億円 | プレシード | 東京都 | 2026-07 | — | — | — | — | — | — |
| 株式会社セカンドハート | 0.1億円 | 非開示 | 京都府 | 2019-02 | — | — | — | — | — | 3 → 2人(-1) |
| 株式会社アジラ | 非公表 | 非開示 | 東京都 | 2015-06 | 2025-12(第11期) | 6.90億 | +0.35億 | -4.36億 | 5.1% | 46 → 48人(+2) |
| 株式会社アジラ | 非公表 | 第三者割当ほか | 東京都 | 2015-06 | 2025-12(第11期) | 6.90億 | +0.35億 | -4.36億 | 5.1% | 46 → 48人(+2) |
| 株式会社ex Labs | 非公表 | 非開示 | 東京都 | 2025-12 | — | — | — | — | — | — |
| DFree株式会社 | 非公表 | 非開示 | 東京都 | 2015-02 | 2025-08(第11期) | 5.98億 | +0.0043億(43万円) | -5.26億 | 0.1% | 33 → 38人(+5) |
| 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ(※) | 非公表 | 第三者割当ほか | 東京都 | 2004-02 | 2024-06(第21期) | 363.20億 | +49.89億 | -26.32億 | 13.7% | 133 → 155人(+22) |
| AZUL Energy株式会社 | 非公表 | シリーズA-ex | 宮城県 | 2019-07 | 2023-06(第4期) | 0.96億 | +0.19億 | -0.23億 | 19.8% | 12 → 10人(-2) |
| 株式会社Final Aim | 非公表 | プレシリーズA | 東京都 | 2019-12 | — | — | — | — | — | 2 → 4人(+2) |
| 株式会社TAIAN(※) | 非公表 | シリーズB | 東京都 | 2020-06 | 2024-05(第4期) | 1.50億 | -0.13億 | -1.68億 | -8.4% | 36 → 54人(+18) |
| アットドウス株式会社(※) | 非公表 | 非開示 | 神奈川県 | 2017-09 | — | — | — | — | — | 2 → 2人(+0) |
| 株式会社クリーンプラネット(※) | 非公表 | 非開示 | 東京都 | 2012-01 | 2025-06(第13期) | 1.00億 | -4.67億 | -2.22億 | -468.7% | 14 → 14人(+0) |
| Sinumy株式会社(※) | 非公表 | 非開示 | 大阪府 | 2018-06 | 2025-03(第7期) | 0.87億 | -0.15億 | — | -17.8% | 10 → 12人(+2) |
| 株式会社Scale Technology | 非公表 | シード | 広島県 | 2025-04 | — | — | — | — | — | 1 → 2人(+1) |
20社のうち東京都の企業が13社。愛知・静岡・京都・宮城・神奈川・大阪・広島が各1社だった(表は案件単位のため21行ある)。
※ 表の「非公表」は各社が金額を公表していないこと、「—」はCompalyzeが確認できなかったことを示す。(※)を付した5社は、調達した会社自身ではなく、出資した側や支援拠点の運営者の発表から特定した案件で、調達額はいずれも公表されていない。
計算方法(Methodology)
- 対象: 2026年7月27日〜8月2日(日本時間)に新たに公表された、未上場企業の資金調達。Compalyzeが収集した企業リリースを分類したうえで、以下を除いている。したがって「日本の未上場企業の調達すべて」ではなく、Compalyzeが確認できた範囲である。
- 上場企業(新株予約権の行使状況・払込完了・訂正等の定型開示を含む)
- 海外法人による調達
- IPO・補助金・助成金の採択
- 直近の決算公告で純資産が100億円を超える企業
- オウンドメディア(note・Wantedly)での発表。月次まとめや過去ラウンドの振り返りを、その日の新規発表として拾ってしまうため
- 過去に公表済みのラウンドの完了報告(今回はCordia DirectionsのシリーズA約15億円が該当)
- 件数と社数: 1つの案件が複数のリリースに分かれることがあるため、同一企業の同一金額は1件に畳んだ。ただし金額が非公表の場合は畳んでいない(同じ会社が同じ週に別の案件を発表することがあるため)。その結果、案件数と社数は一致しないことがある。
- 調達した会社以外の発表からの特定: 「◯◯へ出資」型のリリースは出資した側の法人に、拠点運営者の発表はその運営者に紐づくため、そのままでは調達した会社が集計から漏れる。見出しから調達側の社名を読み取り、Elasticsearch で法人番号を特定して付け替えた(1件ずつ目視で確認)。海外法人による調達、ファンドへの出資、調達側の発表ですでに収録済みのもの、法人番号を特定できなかったものは計上していない。ただし、発表文から新株の引受か既存株式の取得かを判別できない案件が含まれる。既存株式の取得であれば会社に新しい資金は入らないため、これらを「調達」として数えている点には限界がある。
- 純資産100億円超の除外は、決算公告を確認できた会社にしか適用できていない。公告を確認できない会社には同じ判定をしておらず、以下の財務の比率を未上場の調達企業全体へ一般化することはできない。
- 週次推移のグラフだけは付け替えを適用していない。過去の週について同じ作業をしておらず、当週だけ基準を変えると推移の比較にならないため。グラフの当週の値は16件で、本文の21件とは対象が異なる。
- 主体の確認: 機械的な絞り込みのあと、対象のリリース見出しを1件ずつ目視で確認し、調達した企業と発表元が一致しないもの、および当該週の新規発表でないものを除いた。
- 金額: 各社の公表額。エクイティとデットが混在する発表はその合計を用いている。金額を公表していない案件は集計の分母には含めるが、合計額には算入していない。
- 出し手の分類: 各社が公表した投資家・貸し手の名称を語句ルールで6種類に振り分けたもの。独立系VCと事業会社系CVCは名称だけでは分けきれないため、いずれも「VC・ファンド」に含めた。事業会社が本体で出資した場合を「事業会社」、銀行・信金・証券・保険とその系列を「金融機関」、JIC・日本政策金融公庫・商工組合中央金庫・大学系ファンド等を「政府系・公的」としている。1つの案件に複数の種類が含まれる。名称にもとづく便宜的な分類であり、資本関係を確認したものではない。
- 決算公告: 各社が確認できた最新期のもの。掲載が毎期あるとは限らず、収録できていない公告がある可能性がある。公告の期は今回の調達より前であり、今回の調達は反映されていない。決算公告の期は年月(および公告に期数の記載があればその期数)で示した。決算期末の日付は抽出上のばらつきがあるため、月次の粒度で扱っている。
- 純資産比率 は 純資産 ÷ 総資産 で算出した。いずれも同一の決算公告に載る値である。決算公告からは株主資本と新株予約権等を分けられないため、一般にいう自己資本比率とは厳密には一致しない。
- 被保険者数 は厚生労働省の社会保険適用事業所に届け出られた人数で、月次で更新される。総従業員数ではない。前年同月と直近月を比較した。正社員数とは一致せず、事業所の届出単位で動くため、組織再編や雇用形態の変更でも増減する。
- 登記 は商業登記の受付記録で、受付日と登記の種類のみを含み、増資額や役員の氏名といった内容は含まない。同一企業・同一受付日の複数件は1つに統合し、図では代表の種類を表示した。
- 役員の登記は「変更・重任」を区別しない。役員には任期があり、任期満了にともなう重任(同じ人の再任)でも登記が発生するため、この区分は経営陣の交代を意味しない。本記事では「役員(変更・重任)」と表記している。
- 新株予約権の登記はストックオプションの発行でも行われるため、資金調達の予告とは限らない。
- 累計調達額は本記事では扱っていない。各社の発表には「そのラウンドまでの累計」を示すものが混在しており、機械的な合算では二重計上になるため。クラスの114.6億円は同社の発表値をそのまま引用している。
- 本記事は取材ではなく、公開情報の分析である。
本文で言及した企業