先週の資金調達(2026年9月12日〜9月18日)— 177億円は「契約締結」の発表、発表日と実行日のずれを読む
2026年9月12日〜18日に当社が確認できた未上場企業の資金調達は15件、金額判明13件で公表額計283.2億円、今回の調達額として発表された額は12件278.2億円。62.5%を占めるキャディの177億円はシリーズDの契約締結の発表で、発表日と実行日を分けて読む週だった。

当社が確認できた先週の資金調達発表は15社・15件。金額が示された13件の公表額の単純合算は283.2億円、中央値は4.0億円だった。その62.5%を占めるキャディの177億円は、シリーズDの契約締結の発表であり、払込日や払込完了の記載はない。
今回の調達額として発表された額(融資枠と、増資・株式譲渡の内訳が分からない案件を除く。契約締結の発表を含む)は12件・278.2億円、中央値3.85億円。公表額の単純合算も融資枠を除いた値で、どちらもこの週の入金額ではない。
独自データでは、掲載15社のうち9社の決算公告を確認できた。被保険者数を前年の取得値と比較できた13社は、増加9社、減少2社、横ばい2社に分かれた。調達額に加え、各社の過去の財務状態と組織規模の変化を重ねて読む。

集計サマリ
| 会社(発表日) | 公表額とその範囲 | 事業・主な出し手 |
|---|---|---|
| Kiviaq(9月14日) | 1.5億円(今回、7月31日付で完了) | 来店しなくても薬が届く薬局(店舗での対面受付も行う)。マーキュリアインベストメント(マーキュリア・サプライチェーンファンド)、Coral Capital、Spiral Innovation Partners |
| WellBe(9月14日) | 5,500万円(今回、増資+融資) | 訪日客向け美容予約。NAGALAB、GWP、個人投資家、金融機関 |
| AOI Biosciences(9月14日) | 約5億円(株式譲渡を含む取引総額) | ネオセルフ抗体検査・量子関連創薬。日本ベンチャーキャピタル、SBI新生企業投資など |
| Ocean(9月15日) | 金額は公表されていない | リファンド型免税。Z Venture Capital、デライト・ベンチャーズ、Bluefin Partners、ONE-JAPAN観光ファンド、Dual Bridge Capital |
| Josan-she’s(9月15日) | 4億円(今回、シリーズA) | 助産師ネットワークによる産前産後ケア。WPower Fund、NEXTBLUE、FFG、大和ハウス・積水ハウスのファンド、個人投資家 |
| Yoom(9月15日) | 7億円(今回、初の外部調達) | 業務自動化。Dual Bridge Capital(DBC1号)、みずほキャピタル、静岡キャピタル、ハリズリー、キヤノンMJのファンド |
| キャディ(9月16日、公式サイトは15日付) | 177億円(今回、シリーズDの契約締結) | 製造業AIデータ基盤。Moore Strategic Ventures、Coreline Ventures、HR Tech Fund、Woven Capital、Salesforce Ventures、Atomico、グロービス、ゆうちょアセットマネジメント |
| QueryLift(9月17日) | 1億円(今回、第三者割当増資) | 生成AI最適化。JAFCO、Z Venture Capital |
| Facilo(9月17日) | 64億円(今回、シリーズB。うち融資枠7億円) | 不動産仲介DX。グロービス、Coral Capital、Angel Bridge、Spiral Innovation Partners、DBJキャピタル、電通ベンチャーズSGPファンド、i-nest capital、三菱UFJキャピタル、フォースタートアップスキャピタル |
| ジェイエルネス(9月17日) | 3.7億円(今回、第三者割当増資) | 60代70代向け少人数ツアー。FFG、PARTNERS FUND、横浜・SMBC・南都・りそなのファンド、NANKAI NEXT Ventures |
| ARK(9月17日) | 約13億円(今回、株式+融資) | 陸上養殖。UntroD、Beyond Next Ventures、BPキャピタルなど。貸し手にりそな銀行、北國銀行、日本政策金融公庫 |
| kikitori(9月17日) | 3億円(今回、シリーズA・第三者割当増資) | 農産物流通のクラウドサービス「nimaru」。グロービス・キャピタル・パートナーズ(リード)、アグリビジネス投資育成 |
| FinT(9月18日) | 金額は公表されていない | SNSマーケティング支援。個人投資家6名 |
| GEMBA(9月18日) | 4,500万円(今回、同日付で完了) | 製造業の現場改善DX。ANOBAKA、へきしんAOMIファンド、広島ベンチャーキャピタル |
| sustenキャピタル・マネジメント(9月18日) | 10億円(今回、第三者割当増資) | 個人向け投資一任サービス「SUSTEN」。ゆうちょ銀行、ファーストライト・キャピタル、The Ascent Group |
一覧は当社が確認できた発表に限る。発表日順で、金額の順位を示すものではない。出し手は発表で名前が出た主体を記している。WellBeとFaciloは金融機関からの融資も発表しているが、貸し手の名称は公表されていない。
| 公表額の扱い | 件数 | 合計 | 中央値・対象 |
|---|---|---|---|
| 公表額の単純合算(融資枠は除く) | 13件 | 283.2億円 | 4.0億円。Faciloは57億円、AOIは取引総額約5億円 |
| 今回の調達額として発表された額 | 12件 | 278.2億円 | 3.85億円。AOIを除き、Faciloは57億円 |
| 過去のクローズ・実施分を含む額 | 該当なし | — | 先行クローズとの合算を明示した案件はない |
| 増資・株式譲渡の内訳が分からない取引総額 | 1件 | 約5億円 | AOI Biosciences。公表額の単純合算だけに含める |
| 金額は公表されていない | 2件 | 合計に含めない | Ocean、FinT |
発表の総額を融資枠込みでそのまま足すと290.2億円になるが、本稿はFaciloの融資枠7億円を除いた283.2億円を用いる。金額には「約」を含む。
Compalyzeのデータで見る
最新収録の決算公告――決算期は会社によって異なる
決算公告は9社で確認できた。下表は確認できた最新の決算期末を選んだもので、金額はすべて各決算期末の残高である。公告日や調達発表時点の財務状態とは区別する。
| 会社 | 決算期末 | 公告日 | 純資産(億円) | 総資産(億円) |
|---|---|---|---|---|
| AOI Biosciences | 2024/12/31 | 2025/07/24 | 2.74 | 3.30 |
| Josan-she’s | 2024/09/30 | 2025/05/22 | 0.15 | 0.40 |
| Yoom | 2025/05/31 | 2025/08/11 | 3.33 | 4.28 |
| キャディ | 2024/09/30 | 2025/08/22 | 12.16 | 92.19 |
| Facilo | 2025/09/30 | 2025/12/23 | 7.92 | 14.11 |
| ジェイエルネス | 2024/12/31 | 2025/03/31 | 0.13 | 1.12 |
| ARK | 2025/09/30 | 2026/08/28 | 2.27 | 4.39 |
| kikitori(最新収録は2023年2月期) | 2023/02/28 | 2023/08/15 | 0.08 | 0.32 |
| sustenキャピタル・マネジメント | 2025/12/31 | 2026/04/13 | 2.18 | 2.88 |
kikitoriは2023年2月期が最新収録で、同社は2023年9月にも資金調達を発表しているため、その後の状態を示さない。
過去の純資産へ今回の調達額を足して現在の残高を求めることはできない。その間の損益や資本取引、借入の影響を含む新しい決算が必要になる。表にない会社も、他に決算公告があっても確認できていない可能性がある。
社会保険の被保険者数――2026年9月取得分と2025年9月取得分
掲載15社の被保険者数について、2026年9月取得分を2025年9月取得分と比べた。キャディは前年同月比+151人(659→810)、Faciloは+51人(60→111)。FinTは−22人(98→76)、sustenは−6人(27→21)で、増減の方向も異なる。
| 会社 | 2026年9月取得分 | 2025年9月取得分 | 増減(前年同月比) |
|---|---|---|---|
| キャディ | 810人 | 659人 | +151人 |
| Facilo | 111人 | 60人 | +51人 |
| Yoom | 87人 | 82人 | +5人 |
| FinT | 76人 | 98人 | −22人 |
| kikitori | 33人 | 24人 | +9人 |
| ARK | 24人 | 12人 | +12人 |
| AOI Biosciences | 23人 | 21人 | +2人 |
| sustenキャピタル・マネジメント | 21人 | 27人 | −6人 |
| Kiviaq | 13人 | 2人 | +11人 |
| Josan-she’s | 11人 | 5人 | +6人 |
| ジェイエルネス | 10人 | 6人 | +4人 |
| Ocean | 7人 | — | — |
| QueryLift | 4人 | — | — |
| GEMBA | 2人 | 2人 | 0人 |
| WellBe | 1人 | 1人 | 0人 |
取得日は各年9月2日。値は社会保険適用事業所の月次データで、人数の基準時点は取得日そのものではなく、取得日より前の月次の値である。

「—」は前年同月の値がないことを示し、0人や増減なしとは扱わない。FinTの被保険者数は76人だが、発表では日本・ベトナム・タイなど複数拠点を含む全社約130名と説明されている。被保険者数は社会保険の適用範囲と確認できた事業所の値であり、海外拠点や業務委託などを含む社員数全体や採用数と同一視しない。
調達発表企業の過去1年の増資関連履歴
掲載15社のうち、直近1年(2025年9月19日〜2026年9月18日)の商業登記の受付記録を確認できたのは9社・16記録。今週の調達発表企業のうち7社には、それ以前の1年間に資本金の増加を含む登記受付があった。
| 会社 | 過去1年の資本増を含む受付日 | 今回の調達発表日 |
|---|---|---|
| FinT | 2026年3月2日 | 9月18日 |
| sustenキャピタル・マネジメント | 2026年6月2日 | 9月18日 |
| Facilo | 2026年6月9日 | 9月17日 |
| ジェイエルネス | 2026年6月26日 | 9月17日 |
| Kiviaq | 2026年7月6日 | 9月14日 |
| AOI Biosciences | 2026年7月9日 | 9月14日 |
| ARK | 2026年7月10日 | 9月17日 |

Kiviaqの資本増受付は7月6日、発表にある調達完了日は7月31日である。受付情報だけでは、その増資と今回の1.5億円が同じ取引かどうかは確認できない。他社についても過去の別の増資を含む可能性があり、受付日を払込日と読み替えたり、受付の有無から調達額を推定したりはできない。
調達発表企業の過去1年の資本増受付の社数は、連載では7月27日週6社、8月1日週4社、8月15日週5社、8月22日週5社、8月29日週10社、9月5日週6社、今週7社だった。8月8日週は記載がなく、第1回は7月27日〜8月2日で期間の取り方が異なる。本号の7社はいずれも発表前の受付で、過去号の「発表より先に資本金増加の登記が受け付けられていた社数」と同じ数え方になる。
発表日と実行日を分けて読む
キャディは、シリーズDで177億円の資金調達に関する契約を締結したと公表した(公式サイトは9月15日付、PR TIMES配信は16日)。新規の5社と既存の3社、計8社が発表に登場する。企業価値1,820億円も発表値として示されたが、これは調達額には加えない。契約締結を、177億円が払い込まれたことの確認に置き換えることはできない。
KiviaqのプレシリーズAは、7月31日付で完了した1.5億円を9月14日に発表したものだ。処方薬の配送に対応するダークストア型薬局を展開する同社には、マーキュリアインベストメント、Coral Capital、Spiral Innovation Partnersが参加した。発表された累計2.8億円は今回額に足していない。
Josan-she’sは9月15日にシリーズAの4億円を発表した。一方、大和ハウスベンチャーズの発表は、ファンドからの出資日を8月28日としている。これは大和ハウス側の出資についての日付で、ラウンド全体の払込日を示すものではない。助産師などの専門職をつなぐ産前産後ケアに、住宅グループの出し手も加わった。積水ハウス側は、ホテルを活用した産後ケアや、住宅入居者向けサービスの展開を挙げている。
Oceanは、免税分を後から返金するリファンド型免税の事業で、シリーズAのファーストクローズを発表した。複数回に分ける場合の最初の締めで、追加のクローズがあり得る。今回の金額は非公表だ。これに対し、GEMBAは9月18日付の完了を同日に発表している。発表が並んだ一週間の中にも、契約締結、以前の実行の公表、同日完了という違いがある。
増資、借入、株式譲渡、融資枠
Faciloが公表した64億円は、エクイティ39億円+デット18億円+融資枠7億円。エクイティは株式による資金、デットは借入などの返済を伴う資金で、融資枠は借りられる上限である。今回の調達額として発表された額には、枠を除く57億円を採った。
| 対象 | 株式による資金 | デット | セカンダリー(既存株の売買) | 融資枠 | 合算での扱い |
|---|---|---|---|---|---|
| Kiviaq、Josan-she’s、QueryLift、ジェイエルネス、キャディ、kikitori、susten | 各公表額。キャディは契約締結を公表。払込状況は発表から確認できない | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 合計200.2億円 |
| WellBe | 融資との配分は非公表 | 株式との合計5,500万円 | 記載なし | 記載なし | 0.55億円 |
| Facilo | 39億円 | 18億円 | 記載なし | 7億円 | 株式+デットの57億円 |
| ARK | 融資との配分は非公表 | 株式との合計約13億円 | 記載なし | 記載なし | 約13億円 |
| AOI Biosciences | 株式譲渡との配分は非公表 | 記載なし | 増資と合わせて約5億円 | 記載なし | 公表額合算のみ。今回の調達額として発表された額から外す |
| Yoom、GEMBA | 金融商品の内訳は非公表 | 内訳は非公表 | 記載なし | 記載なし | 7億円と0.45億円 |
「記載なし」は、そうした取引が一切ないという意味ではない。金融商品の配分が分からない発表から、株式や借入の額を推定していない。
大阪府茨木市のAOI Biosciencesは、ネオセルフ抗体検査の展開と量子関連技術を使う創薬を進める。約5億円は第三者割当増資と株式譲渡を含む取引総額だ。既存株を売った株主へ渡る資金は、会社への資金流入にはならない。増資との内訳が非公表なので、約5億円を丸ごと278.2億円の側へ足すことも、会社に入った分だけを取り出すこともできない。
WellBeの5,500万円とARKの約13億円は、株式と融資を合わせた金額で、配分は非公表だった。WellBeは美容サービスの多言語予約・決済を通じて訪日客を店舗につなぎ、ARKは神奈川県平塚市を拠点に陸上養殖システムと養殖場の開発、海外展開を進める。両社とも金額だけから、増資による自己資本の増加分を読み取ることはできない。
kikitoriは、農産物流通のクラウドサービス「nimaru」を展開する。9月17日発表のシリーズAでは、グロービス・キャピタル・パートナーズをリードに、アグリビジネス投資育成と合わせて第三者割当増資で総額3億円を調達した。業界特化型SaaS「nimaru」の拡販、AIを活用したプロダクト・サービス開発、nimaru取引プラットフォームの立ち上げに充てる。累計約7億円は今回額に加えていない。
sustenキャピタル・マネジメントは、個人向けに運用を任せられる投資一任サービス「SUSTEN」を提供する。9月18日に、ゆうちょ銀行、ファーストライト・キャピタル、The Ascent Groupを引受先とする第三者割当増資で計10億円を調達したと発表した。ゆうちょ銀行との資本業務提携を通じ、同行直営店・郵便局の貯金窓口やゆうちょ通帳アプリなどでの投資一任サービスの提供をめざす。
地銀・信金系のファンドと、銀行の融資
今週は、少なくとも次の4件で地銀・信金系の投資会社・ファンドの参加を確認した。発表で名前が出た出し手に限る観測で、非公表の参加者を含む構成は分からない。銀行による融資は別に記す。系列の判定は各社が公表する資本関係に基づき、発表原文に系列の記載がないもの(広島ベンチャーキャピタル・静岡キャピタル・ナントCVC等)を含む。
| 会社 | 地銀・信金系の投資会社・ファンド | 同じ発表に登場する他の金融系 |
|---|---|---|
| ジェイエルネス | FFGベンチャー4号、Yokohama Growth1号、ナントCVC4号さきがけ | SMBCベンチャーキャピタル8号、りそなキャピタル10号 |
| GEMBA | へきしんAOMIファンド(碧海信用金庫・信金キャピタル)、広島ベンチャーキャピタル | — |
| Yoom | 静岡キャピタルのしずおかビジョン共創1号 | みずほキャピタルのみずほ成長支援第5号 |
| Josan-she’s | FFGベンチャービジネスパートナーズ | — |
ジェイエルネスでは、上表の銀行グループの5ファンドに加え、PARTNERS FUND2号とNANKAI NEXT Venturesの名前が挙がる。FFGをリードとする発表で、FFGのコメントにはPARTNERS FUNDとともにラウンドを主導したとある。同社は、60代70代向けの少人数ツアー「シュミタイム」の地域拡大を進める。
ARKでは、りそな銀行がリードレンダー(融資側の主たる貸し手)で、北國銀行と日本政策金融公庫も貸し手として参加した。株式側は発表の数え方で9社(一覧には10の名前が並び、STATION Aiとディープコアは同じファンド)、貸し手は3者と分けて発表している。BPキャピタルが運営する東京農工大学ファンドも株式側にいる。「大学発かどうか」と「大学系の出し手がいるか」は別の属性だ。
地域金融系の参加を単週の増減で評価せず、こうした案件を累積して投資先や関与の形を見ていく。
出し手の属性マトリクス
対象は掲載15件。●名称確認 ○属性のみ確認。●は発表に名称が出た出し手で属性を確認、○は名称非公表だが発表が属性を明記したもの。●○は両方の根拠があることを示す。
| 調達した会社(形) | 独立系VC | 事業会社・CVC | 金融系 | 大学系 | 政府系・公的 | 個人 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Kiviaq(プレシリーズA・株式) | ● | |||||
| WellBe(シード・増資+融資) | ● | ○ | ● | |||
| AOI Biosciences(増資+株式譲渡) | ● | ○ | ● | |||
| Ocean(シリーズA・ファーストクローズ) | ● | ● | ||||
| Josan-she’s(シリーズA・株式) | ● | ● | ● | ○ | ||
| Yoom(初の外部調達・内訳非公表) | ● | ● | ● | |||
| キャディ(シリーズD・契約締結) | ● | ● | ● | |||
| QueryLift(シード・第三者割当増資) | ● | ● | ||||
| Facilo(シリーズB・株式+デット+融資枠) | ● | ● | ●○ | ● | ||
| ジェイエルネス(プレシリーズA・第三者割当増資) | ● | ● | ● | |||
| ARK(シリーズA・株式+融資) | ● | ● | ● | ● | ● | |
| kikitori(シリーズA・第三者割当増資) | ● | ● | ● | |||
| FinT(個人投資家からの調達) | ● | |||||
| GEMBA(シード・内訳非公表) | ● | ● | ||||
| sustenキャピタル・マネジメント(第三者割当増資) | ● | ● |
アグリビジネス投資育成は、日本政策金融公庫とJAグループの共同出資会社であるため、金融系と政府系・公的の両方に分類した。
独立系VC13件、事業会社・CVC10件、金融系11件、大学系1件、政府系・公的3件、個人3件だった。WellBe・Faciloの「金融機関からの融資」は金融系に○、AOIの「事業会社を引受先として」は事業会社・CVCに○を付けた。Faciloの金融系には、名称が公表された三菱UFJキャピタルとSpiral Innovation Partnersの●も付く。WellBeの個人2名とFinTの個人6名は氏名が公表されており●、Josan-she’sの個人投資家は属性のみの○とした。非公表の参加者を含む全体の構成は分からず、空欄は、その属性の出し手が存在しないという意味ではない。

金融系は銀行本体や金融グループ傘下の投資会社・CVCを含む。日本政策金融公庫とDBJキャピタルは政府系・公的に置く。Faciloに出資したSpiral Innovation Partnersは、全国保証の発表により投資主体が全国保証イノベーション投資事業有限責任組合(信用保証会社のCVCファンド)と確認できたため、本稿の規則どおり金融系CVCとして金融系に置いた。Kiviaqでは出資ファンドが発表に示されていないため、運営者のSpiral Innovation Partnersを独立系VCに置いた。大学系はARKの東京農工大学ファンドである。キャディのゆうちょアセットマネジメントについては、発表の脚注では、同社子会社を運営者とするJPSグロース・インベストメントおよび同2号の投資事業有限責任組合が実体と示されている。HR Tech Fundは、発表の脚注ではリクルートホールディングス傘下のCVCとされている。
sustenのゆうちょ銀行は銀行本体として金融系、ファーストライト・キャピタルと投資会社のThe Ascent Groupは独立系VCに分類した。AOIの行は取引全体に名前が挙がる投資家の属性を示し、増資と既存株の譲受への配分までは示していない。
AIをどこで使うか — 6件の発表から
今週の発表から、AIを製品や新規事業に位置付ける次の6件を取り上げる。これらは例示で、AIに触れた発表がこの6件に限られるわけではない。既存業務の自動化、顧客向け製品、これからの開発計画を同じ成熟段階として扱わない。
| 会社 | 発表が示すAIの用途・取り組み |
|---|---|
| キャディ | 製造業のデータを扱うAIプラットフォーム。米国でも提供を開始 |
| Yoom | 人、AIエージェント、システムをつなぎ、判断や承認を組み込んだ業務フローを自動化 |
| QueryLift | GEO(生成AI最適化)。生成AIの回答を通じた企業・サービスの認知を支援 |
| Facilo | AIを使う不動産仲介向け製品の新規リリースと、コラビットのグループ会社化 |
| FinT | SNSマーケティング支援に加え、AIエージェントの社内実装やAIを使う新規事業 |
| GEMBA | 現場データによる意思決定支援や熟練者の知見の共有に向けた「GEMBA AI」の開発 |
Yoomは人の判断を挟む業務全体の自動化を掲げ、Faciloは調達と同時にAI製品の新規リリースを発表した。シードのQueryLift・GEMBAと、既存のSNSマーケティング支援を持つFinTでも事業段階が異なる。この6件から、業界全体の資金がAIへ移ったとは断定できない。
資金が入る前段階・別建ての動き
新会社設立への出資として、OrbiFlowへのT5とロジザードの共同出資が9月15日に発表された。登記上は2026年7月31日設立の同社は、倉庫の設備・人・工程をつなぐ倉庫運用管理システム「OrbiFlow OS」を開発する。金額は非公表。新会社設立に伴う動きとして、15件の件数・金額・出し手属性表から外して別建てとした。
TechShareへのGMO AI&ロボティクス商事による出資は、9月14日に基本合意、実行は9月30日予定(金額非公表)。実行後の発表で扱う。
この週をどう読むか
177億円の契約締結、7月に完了した調達の9月発表、融資枠込みの64億円。今週は、公表された日付や総額だけでは資金の動きを同じ尺度に置けない発表が並んだ。公表額の合算283.2億円と、今回の調達額として発表された額278.2億円を分け、契約締結や実行の時期も確認する必要がある。
AIを使う事業でも、工場のデータ基盤、不動産仲介、社内業務、マーケティングでは使い方が異なる。出し手についても、銀行グループのファンドによる投資と、銀行からの融資は役割が違う。発表に並ぶ金額と名前に、その契約・事業・関与の形を添えることで、各社が次に進めることを読み取りやすくなる。
範囲・計算方法・出典
この連載が扱う範囲
国内の未上場企業への外部資金調達の発表を対象とする。株式による出資のほか融資も含む。週の区切りは日本時間の土曜0時00分から翌土曜0時00分までで、本号は2026年9月12日〜9月18日の発表日で区切った。実行が前の月であっても、今回の調達としてこの週に発表されたものは含める。キャディは契約締結の発表として含め、払込済みとは扱っていない。
次のものは集計から外した。
- 上場会社自身の資金調達・自己株式処分25件。
- 補助金収入の計上1件と、上場企業の子会社への親会社割当増資1件。
- 既に公表された案件の続報2件。ReFactへのSOMPOホールディングスの出資は、6月30日開示の払込完了の続報であり、調達側も上場企業の子会社である。OptQCは、8月25日発表のシリーズA2(総額70億円)に三菱電機の名前が挙がり、第6号で計上済み。
- 資本業務提携の締結のみで今回の資金流入を確認できない3社。マネジメントベースとライトワークス、enigmaと大日本印刷、UMIと三井住友信託銀行・ドリームインキュベータの発表が該当する。
- 基本合意・実行前のTechShareへの出資。
- 海外法人8件。Reframe Systems、SunPower、PT Affirmate Property Nusantara、永旺幻想(中国)児童遊楽、RegCell、Trusty Cars(CARRO)、TRAPA Security、TL Electronic。海外上場企業や上場グループの子会社も含む。
- レゾナック(米国子会社経由)からMatter Venture Partners Fund IIへのLP出資1件。事業会社の資金調達とファンドへの出資を分けた。
OrbiFlowは新会社設立への出資として別建てにした。同じ調達に関する複数の発表は1件にまとめ、Oceanの本人・Z Venture Capitalの発表、Josan-she’sの本人・大和ハウス・積水ハウス側の発表、Yoomの本人・キヤノンMJ・グローバル・ブレイン側の発表を重複して数えていない。
計算方法・出典
発表日は当社が収録した配信・掲載日。キャディの発表日は当社が収録したPR TIMES配信が9月16日、公式サイト(https://caddi.com/ja-jp/news/press/series-d-funding/ )の掲載日表示は2026.09.15。一覧表は両方を併記した。
kikitoriとsustenキャピタル・マネジメントの発表は各社のPR TIMES(2026年9月17日・18日)から金額・引受先・資金使途・提携内容を採った。
Faciloの引受先のうちSpiral Innovation Partnersは、全国保証の発表(全国保証イノベーション投資事業有限責任組合を通じた出資、2026年9月17日)で確認した。
公表額の単純合算は、各発表から今回の調達・取引に対応する額を一つずつ採り、累計額と融資枠を除いて合計した。本号の13件は昇順に0.45、0.55、1、1.5、3、3.7、4、5、7、10、13、57、177億円で、合計283.2億円、中央値4.0億円。Faciloの公表総額64億円は融資枠7億円を除く57億円を採る。AOIの約5億円は株式譲渡を含むため、今回の調達額として発表された額の合計からは外す。その12件は合計278.2億円で、中央値は中央の3.7億円と4億円の平均3.85億円となる。キャディの比率は177÷283.2を百分率にし、小数1桁へ丸めた。
「過去のクローズ・実施分を含む額」は、発表が先行クローズとの合算を明示する場合に分ける区分で、本号は該当なし。実行日が発表日より前というだけでは、この区分へ移さない。Kiviaqの7月31日完了分やJosan-she’sの8月28日の出資を含む発表も、今回の調達として示された金額に含める。AOIを今回の調達額として発表された額から外した理由は、過去クローズではなく株式譲渡との内訳が分からないためである。
金額には概算が含まれる。非公表を0円とはせず、合計・中央値から外した。累計調達額、企業価値、会社概要の資本金は加算していない。いずれの合計・中央値も、この週の入金額ではない。
掲載15件は15社の発表に対応する。出典は各社および出資側の2026年9月14日〜18日の発表(PR TIMES、共同通信PRワイヤー、企業公式発表)、商業登記の受付情報、厚労省の社会保険の月次データ、決算公告。OrbiFlowの設立日は商業登記の受付情報(登記受付帳)に基づく。kikitori・sustenの設立年月は各社発表の会社概要による。被保険者数は社会保険適用事業所の月次データの2026年9月取得分と2025年9月取得分で、取得日は各年9月2日。人数の基準時点は取得日そのものではなく、取得日より前の月次の値である。前年同月の値がない場合は「—」とし、0人や増減なしとは扱わない。決算公告は9月18日までに公表されたものから、確認できた最新の決算期末を選んだ。同一期末に複数ある場合は公告日が新しいものを採用し、純資産・総資産は円から億円へ換算して小数2桁に丸めている。
出し手の属性は投資主体・運営者の系列で分類する。LP(ファンドへの出資者)の属性は主表に反映せず注記する。金融系CVCは金融系に置き、事業会社・CVCへ重ねて数えない。政府系・公的と金融系は、属性表直後に記した例外を除き重複させない。件数は●と○を合わせ、同じ会社は各列で1件と数える。複数属性を数えるため列の合計は15件と一致せず、出資額の配分も示さない。運営者とファンドを別々の直接出資者として人数に足してはいない。