先週の資金調達(2026年10月3日〜10月9日)— 借入・デットのみの3件で公表額225.6億円の6割強、地銀・メガの融資が並ぶ
10月3日〜9日に当社が確認した資金調達関連の発表は23件・23社。今回額が判明した11件・225.6億円の6割強を、Terra Chargeの100億円など借入・デットのみの3件が占めた。地方銀行・メガバンクの融資と、株式と借入を組み合わせた調達が並んだ週である。

10月3日(土)〜10月9日(金)に当社が確認した資金調達関連の発表は23件・23社。今回額が判明した11件のうち、Terra Chargeの100億円とMUKAの5,000万円は借入、TAIMATSUの40億円は形態の明記がないデットファイナンスだった。この3件で公表された今回額の62.3%を占める。さらに、株式と借入を組み合わせた調達も3件あった。
今回の調達額として発表された額(融資枠と、増資・株式譲渡の内訳が分からない案件を除く)は11件・225.6億円。金額が判明した11件の中央値は11億円だった。この合計はこの週の入金額を示すものではない。借入を含むため、エクイティだけの調達額でもない。
Terra Chargeにはメガバンクを含む5行、ヘンリーには地方銀行5行の融資と地銀系VC2社の出資が並ぶ。一方、ラウンド合計・累計取引総額だけを示したGTNとOceanは今回額を分離できず、金額記載なしの10件とともに、合計・中央値から外した。GTNは累計取引総額約35.5億円(株式譲渡・借入枠を含む)、OceanはシリーズAラウンド合計約5億円である。誠信GLOCALは資本提携・株式取得の発表として掲載しており、新株発行による資金受け入れを確認できた案件とは区別する。
集計サマリ

| 会社(発表日) | 公表額とその範囲 | 事業・主な出し手 |
|---|---|---|
| TAIMATSU(10月5日) | 40億円。デットファイナンス(形態の明記なし) | 和包丁ブランド「MUSASHI JAPAN」など。複数の金融機関・投資家(個別名の記載なし) |
| セレイドセラピューティクス(10月5日) | 4億円。第三者割当増資 | 造血幹細胞治療製品。塩野義製薬、Teikoku Ventures |
| YEN TOWN MARKET(10月5日) | 金額記載なし。出資 | カルチャーIP事業。TWIN PLANET。本人発表なし、親会社・出資側発表 |
| ネッスー(10月6日) | 9,000万円。第三者割当増資 | 「こどもふるさと便」。ソーシャルXインパクトファンド、北洋スタートアップ1号ファンド、事業会社 |
| ファームノート(10月6日) | 金額非開示。第三者割当増資 | 酪農経営支援。インパクト・キャピタル、ソーシャルXインパクトファンド |
| ファイテン(10月6日) | 金額記載なし。融資 | ボディケア商品等。滋賀銀行、9月30日実行 |
| GTN(10月6日) | 累計取引総額約35.5億円(株式譲渡・借入枠を含む)・今回額の集計外 | 外国人の住まい・人材・通信等を支援。阪急阪神イノベーションパートナーズ、三菱地所(BRICKS FUND TOKYO)、SOMPO Growth Partnersなどが追加参画 |
| Terra Charge(10月6日) | 100億円。借入 | EV充電サービス。みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行、みなと銀行 |
| CyCal(10月6日) | 全体額の記載なし。クエイル出資分1,000万円は集計外(一投資家の出資額のため) | 美容室向け経営システム。本人発表なし、出資側が10月6日の払込完了を発表 |
| Essen(10月6日) | 金額記載なし。第三者割当増資 | 車両広告・漏水調査技術。高輪地球益ファンド、NOBUNAGA Raise Fund、事業会社、個人 |
| Tokyo Artisan Intelligence(10月6日) | 金額記載なし。出資 | 現場で処理するエッジAI。東京計器、東京計器レールテクノ |
| Subliminal(10月6日) | 約4,000万円。J-KISS型新株予約権 | AI駆動の基幹業務システム「unito」。mint startup fund 2号、寺田龍二氏 |
| ヘンリー(10月7日) | 12億円。株式1億円+借入11億円 | 病院向け基幹システム「Henry」。地方銀行5行と地銀系VC2社 |
| Every WiLL(10月7日) | 今回額の記載なし。第三者割当増資 | 無人受取拠点「トリイクスポット」等。ON&BOARD、East Ventures、日本スタートアップ支援協会 |
| フライル(10月7日) | 18.8億円。第三者割当増資 | コンタクトセンター向けAI。「シリーズA以降の投資家」としてALPHA、Salesforce Venturesなど9者 |
| Helical Fusion(10月8日) | 32.3億円。シリーズB 2ndクローズ | 核融合発電の開発。富士電機、フジクラ、東京ガス、KKT、ウラタ、ケップルグループ、安藤・間、イークラウドNEXT |
| indent(10月8日) | 11億円。株式+借入の合計 | 創作プラットフォーム「Nola」。JAFCO、ニッセイ・キャピタル、EX Innovation Fund、日本政策金融公庫 |
| 誠信GLOCAL(10月8日) | 金額記載なし。資本提携・株式10%取得 | 杭・地盤・基礎事業。ジャパンパイル。増資・払込の記載なし |
| Ocean(10月9日) | シリーズAラウンド合計約5億円・今回額の集計外 | 免税手続きプラットフォーム。KURONEKO Innovation Fund 2号、静岡キャピタル |
| ASTRA FOOD PLAN(10月9日) | 金額記載なし。第三者割当増資 | 未利用食材の粉末化。KIBOW社会投資ファンド3号、ぶぎんキャピタル、NCBベンチャー2号投資事業有限責任組合、飯能信金地域未来創造投資事業有限責任組合 |
| ザ・ファージ(10月9日) | 5.7億円。株式+借入の合計 | 血糖データを使うAI。伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、東京海上日動火災保険、ジェネシア・ベンチャーズ、ビジョンインキュベイト、ふくいキャピタルパートナーズ、商工組合中央金庫(商工中金) |
| MUKA(10月9日) | 5,000万円。協調融資 | 蒸留酒の製造・販売。日本政策金融公庫、熊本銀行 |
| RadioNano Therapeutics(10月9日) | 金額非開示。第三者割当増資 | ホウ素薬剤の研究開発。三井金属、京都大学イノベーションキャピタル |
一覧は発表日順。同日の並びは金額順位を示さない。「金額記載なし」10件には、調達額を明示的に非開示としたファームノートとRadioNano Therapeuticsの2件を含む。一覧の「金額非開示」は、原文が非開示と明記したこの2件に限る。他の8件について、記載がないことから非開示方針を推定してはいない。CyCalの1,000万円は一投資家の出資額で、増資全体額ではない。Every WiLLの事業資金総額1.3億円には株式・補助金等・借入が含まれ、今回の増資分は分離できないため加えていない。
1stクローズは、同じラウンドを複数回に分けて受け入れるうちの最初の区切りを指す。2nd・3rdクローズはその後の追加分である。CVCは、事業会社が設ける投資ファンド・投資会社を指す。
| 公表額の扱い | 件数 | 金額・対象 |
|---|---|---|
| 今回の調達額として発表された額(融資枠と、増資・株式譲渡の内訳が分からない案件を除く) | 11件 | 合計225.6億円。この週の入金額を示すものではない。金額が判明した11件の中央値は11億円 |
| ラウンド合計・累計取引総額のみで今回分を分離できない | 2件 | GTNは累計取引総額約35.5億円(株式譲渡・借入枠を含む)、OceanはシリーズAラウンド合計約5億円。今回額の集計外・別掲 |
| 金額記載なし(明示非開示を含む) | 10件 | うち2件は原文が非開示を明記。0円として計算に入れない |
累計やラウンド合計を今回額へ足していない。Terra Chargeの累計361.4億円、フライルの累計約22.7億円なども、今回額とは別の数字である。
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決算公告――14社の各決算期末
掲載23社のうち、収録済みの決算公告を確認できたのは14社。下表は各社の最新収録期の値であり、各決算期末の財務残高を示す。公告日や今回の調達時点の残高ではない。
| 会社 | 最新収録の決算期 | 純資産(億円) | 総資産(億円) |
|---|---|---|---|
| セレイドセラピューティクス | 2025年9月期 | 5.0 | 5.6 |
| ファームノート | 2024年8月期 | 1.3 | 7.5 |
| ファイテン | 2017年1月期 | 15.6 | 90.4 |
| GTN | 2025年6月期 | 11.9 | 40.7 |
| Terra Charge | 2025年3月期 | 30.7 | 47.0 |
| Essen | 2024年7月期 | 0.64 | 0.70 |
| Tokyo Artisan Intelligence | 2025年12月期 | 1.7 | 5.2 |
| ヘンリー | 2025年12月期 | -12.5 | 3.4 |
| フライル | 2022年12月期 | 3.1 | 3.5 |
| Helical Fusion | 2025年9月期 | 23.6 | 25.6 |
| indent | 2024年9月期 | 1.5 | 2.0 |
| ASTRA FOOD PLAN | 2025年7月期 | 0.80 | 1.7 |
| ザ・ファージ | 2024年6月期 | 2.6 | 2.8 |
| RadioNano Therapeutics | 2024年8月期 | 0.07 | 0.08 |
ヘンリーは2025年12月期末の純資産がマイナス12.5億円で、負債が資産を上回っていた。今回の12億円は借入11億円と株式1億円の組み合わせであり、全額を純資産へ足して現在の財務状態を求めることはできない。その後の損益や資本取引も、この表だけでは追えない。
ファイテンの最新収録は2017年1月期と古い。残る9社も、公告が存在しないと判断したわけではなく、今回の収録分で確認できないという意味である。
社会保険の被保険者数――22社は2026年10月、1社は別時点
社会保険の月次データは23社にあり、22社は2026年10月時点(取得日10月2日)の値を確認できる。この22社のうち、2025年10月時点(取得日10月2日)の前年同月値があるのは15社だった。
| 会社 | 2026年10月時点 | 2025年10月時点 | 増減 |
|---|---|---|---|
| ファイテン | 458人 | 453人 | +5人 |
| GTN | 403人 | 332人 | +71人 |
| ヘンリー | 157人 | 118人 | +39人 |
| TAIMATSU | 125人 | 29人 | +96人 |
| 誠信GLOCAL | 67人 | 60人 | +7人 |
| フライル | 59人 | 41人 | +18人 |
| Terra Charge | 45人 | 27人 | +18人 |
| indent | 44人 | 45人 | -1人 |
| Tokyo Artisan Intelligence | 38人 | 21人 | +17人 |
| Helical Fusion | 26人 | 13人 | +13人 |
| ネッスー | 22人 | — | — |
| セレイドセラピューティクス | 19人 | 18人 | +1人 |
| ASTRA FOOD PLAN | 13人 | — | — |
| ザ・ファージ | 11人 | 8人 | +3人 |
| Ocean | 10人 | — | — |
| Essen | 5人 | 5人 | +0人 |
| RadioNano Therapeutics | 5人 | 3人 | +2人 |
| YEN TOWN MARKET | 3人 | — | — |
| Every WiLL | 2人 | — | — |
| Subliminal | 2人 | — | — |
| MUKA | 1人 | — | — |
| CyCal | 1人 | 1人 | +0人 |

TAIMATSUは29人から125人、ヘンリーは118人から157人、GTNは332人から403人だった。いずれも調達発表前に取得した値であり、今回の資金による採用成果を示すものではない。
ファームノートは2025年9月時点(取得日9月2日)の55人が最新で、前年同月は2024年9月時点(取得日9月3日)の64人。この1社を上表の2026年10月の値に混ぜず、別時点として示した。
前年同月値のない7社は、0人や増減なしとは扱わない。人数の基準時点は取得日より前であり、社会保険の適用事業所の月次値は社員数全体や採用数と一致するとは限らない。
調達発表企業の過去1年の登記受付履歴
2025年10月10日〜2026年10月9日の収録分では、20社・37記録の登記受付を確認できた。資本金増加を含む受付は8社・11記録で、8社とも少なくとも1回の受付が今回の発表に先行していた。
| 資本金増加の受付があった会社 | 受付日(すべて2026年) |
|---|---|
| ネッスー | 8月27日 |
| GTN | 7月29日 |
| Tokyo Artisan Intelligence | 5月27日 |
| ヘンリー | 5月14日、8月13日 |
| Every WiLL | 5月1日 |
| Helical Fusion | 4月7日、5月13日、7月14日 |
| indent | 5月7日 |
| ASTRA FOOD PLAN | 6月2日 |

受付は登記完了や払込額を示さず、過去の別の増資に対応している可能性もある。今回の調達との対応は確定できない。3社は対象期間の受付を確認できなかったが、受付が収録されていないことは、登記が行われていないことを意味しない。
借入・デットのみの3件で公表額の6割強、株式を組み合わせた調達も
EV充電、和包丁、蒸留所――借入・デットのみ3件の今回額
Terra Chargeは、みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行、みなと銀行から100億円を借り入れた。全国のEV充電器の設置拡大を中心に、サービス・システム開発、人材採用などへ充てる。今回額が判明した11件の中では最大だった。
TAIMATSUは、複数の金融機関・投資家を引受先とするデットファイナンスで40億円を調達した。デットは借入や社債など返済を伴う資金を指すが、同社の発表では借入か社債かは明記されていない。和包丁ブランド「MUSASHI JAPAN」の国内外展開に加え、日本文化をテーマにしたブランド・体験の開発や採用などへ投じる。会社設立は2023年11月で、引受先の個別名称の記載はない。
MUKAの今回額として採ったのは、日本政策金融公庫と熊本銀行の協調融資5,000万円。熊本県天草市での蒸留所建設と初期事業投資を進める。集計には融資分だけを含めた。
この3件の借入・デットの額は140.5億円で、今回額合計の62.3%に当たる。この合計はこの週の入金額を示すものではない。株式と借入を組み合わせた次の3件には、これとは別に借入が含まれる。
ヘンリーは地銀5行、indentとザ・ファージは増資と融資
ヘンリーは、病院向けクラウド基幹システム「Henry」を提供する。静岡銀行が取りまとめるシンジケートローン(複数の金融機関が共同で行う融資)で11億円を調達し、YMFGキャピタルとほくほくキャピタルから1億円の出資も受けた。融資の参加行は静岡銀行、福岡銀行、常陽銀行、名古屋銀行、山梨中央銀行。地域の病院と取引関係を持つ金融機関との連携を進める。
indentは、創作プラットフォーム「Nola」を通じて作家と企業をつなぐ。JAFCO、ニッセイ・キャピタル、EX Innovation Fundを引受先とする第三者割当増資と、日本政策金融公庫からの融資で11億円を調達した。第三者割当増資は、特定の相手に新たな株式を発行して資金を受け入れる方法である。発表日は10月8日だが、実行は2026年4月。株式と借入の内訳は記載されていない。
ザ・ファージの5.7億円も、第三者割当増資と商工中金からの融資の合計。血糖データを使うAIの開発や個別化予防事業の拡大へ充てる。伊藤忠テクノロジーベンチャーズがリードし、東京海上日動火災保険とふくいキャピタルパートナーズが新たに株主として加わった。ジェネシア・ベンチャーズとビジョンインキュベイトも追加出資した。資本業務提携の合意相手は東京海上ホールディングスであり、株主として記載された東京海上日動火災保険とは区別する。
核融合、AI、創薬、こども支援と基幹業務
Helical Fusionは、核融合発電の実用化に向け、シリーズBの2ndクローズで32.3億円を調達した。富士電機、フジクラ、東京ガス、KKT、ウラタ、ケップルグループが新たに株主となり、7月に発表した安藤・間との資本提携分とイークラウドNEXT第3号も今回に含む。4月28日発表の1stクローズ約27億円とは別の額であり、今回額には32.3億円だけを採った。
フライルは18.8億円の第三者割当増資を実施した。コンタクトセンター向けAIのプロダクト開発と顧客支援体制を強化する。発表に挙がるALPHA、ALL STAR SAAS FUND、Salesforce Ventures、Aflac Ventures Japan、日本郵政キャピタル、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、Firstlight Capitalの9者は「シリーズA以降の投資家」の一覧で、今回の個別引受額や新規・既存の内訳は示されていない。
セレイドセラピューティクスは、シリーズBの2ndクローズで4億円を調達した。塩野義製薬と帝國製薬グループのCVCであるTeikoku Venturesが参画した。造血幹細胞治療製品「CLD-001」の米国での臨床試験開始に向け、細胞製造、安全性評価、臨床開発、薬事対応へ充てる。
ネッスーの9,000万円は、シリーズAの1stクローズにおける第三者割当増資。地域産業の振興とこどもの機会創出を組み合わせた「こどもふるさと便」などを展開する。ソーシャルXインパクトファンド、北洋スタートアップ1号ファンド、業務提携中の事業会社から出資を受けた。現時点で上場やM&Aを志向せず、株式の償還によって投資家が資金を回収する設計を採っている。
2026年8月設立のSubliminalは、J-KISS型新株予約権で約4,000万円を調達した。将来の株式への転換を想定する新株予約権を用い、mint startup fund 2号と寺田龍二氏が引き受けた。人事・給与・勤怠・販売などをまとめるAI駆動の基幹業務システム「unito」の開発と営業体制を強化する。
金額の記載と、出資・提携の実行を分けて読む
ファームノートは、インパクト・キャピタルとソーシャルXインパクトファンドを引受先として、9月28日に第三者割当増資を実施した。牧場運営・経営を支援するAIの開発などへ充てる。RadioNano Therapeuticsは、三井金属と京都大学イノベーションキャピタルを引受先にシリーズBの1stクローズを完了し、ホウ素薬剤「RN-501」の臨床試験へ資金を充てる。両社とも調達額を明示的に非開示としている。
Essenは、高輪地球益ファンド、NOBUNAGA Raise Fundに加え、事業会社および個人投資家を引受先とし、第三者割当増資を実施した。車両広告の展開拡大と漏水調査技術の実用化を進める。
Tokyo Artisan Intelligenceは、東京計器と東京計器レールテクノから出資を受け、ニッチトップ製品へのAI実装による競争力強化に向けた資本業務提携を行った。
ASTRA FOOD PLANは未利用食材の粉末化を進め、KIBOW社会投資ファンド3号と地域金融系のファンドなどによる増資を9月30日に実施した。これらの発表には調達金額の記載がない。
YEN TOWN MARKETとCyCalは本人名義の発表がなく、親会社・出資側の発表から1件ずつ掲載した。親会社STARBASEは、6月に新設分割で設立されたYEN TOWN MARKETがTWIN PLANETの出資を受け、STARBASEが過半数を保有する体制で事業を始めたと発表した。クエイルは、CyCalの第三者割当増資を引き受け、10月6日に払込を完了したと発表した。クエイルの出資額1,000万円を増資全体額とはみなさない。
誠信GLOCALの本人発表は「資本提携を実施」「当社発行済株式の10%を取得」と記す。ジャパンパイルとの販売体制強化や共同開発を掲げるが、増資・払込の語はなく、新株発行か既存株式の取得かは確定できない。資本提携として1件を掲載し、金額は記載なしとした。
増資・借入・デット・新株予約権に分ける
株式による資金と、返済を伴う借入・デット、将来の株式転換を想定する新株予約権では、調達の形が異なる。今回額が判明した11件は次のように分かれる。
| 型 | 今回額が判明した件数 | 今回額 | 案件 |
|---|---|---|---|
| 株式 | 4件 | 56億円 | Helical Fusion、フライル、セレイドセラピューティクス、ネッスー |
| 株式+借入 | 3件 | 28.7億円 | ヘンリー、indent、ザ・ファージ |
| 借入・デットのみ | 3件 | 140.5億円 | Terra Charge、TAIMATSU、MUKA |
| J-KISS型新株予約権 | 1件 | 約0.4億円 | Subliminal |
上表の合計225.6億円はこの週の入金額を示すものではない。株式だけの額へ読み替えず、株式と借入の内訳がない2件は配分しない。ヘンリーで明記された借入11億円まで含めると、借入・デットと確認できる部分は151.5億円、合計の67.2%となる。見出しの「6割強」は、借入・デットのみ3件の140.5億円に基づく。
金額のない案件にも、ファイテンの融資やEvery WiLLの増資などがある。誠信GLOCALは資本提携・持分取得として扱い、新株発行の件数へ入れない。
金融系の関わり――メガバンク、地方銀行、投資会社
金融系が登場するのは13件。発表で名前または属性が出た出し手に限り、TAIMATSUは「金融機関」という属性のみを確認した案件として含める。名称の記載がない参加者を含む構成は分からない。フライルの一覧は「シリーズA以降」という範囲であり、今回の個別引受けを確定した件数ではない。
| 関わりの形 | 今回確認できる例 |
|---|---|
| 複数行による融資 | Terra Chargeの5行、ヘンリーの地方銀行5行 |
| 地域金融機関の融資 | ファイテンの滋賀銀行、MUKAの熊本銀行(政府系・公的に分類する日本政策金融公庫との協調融資) |
| 増資と融資の併用 | ヘンリーの地銀系VC2社、indentのニッセイ・キャピタルと公庫融資、ザ・ファージの金融系株主と商工中金融資 |
| 地域金融系ファンド等の出資 | ネッスーの北洋スタートアップ1号、GTNの愛知・ごうぎん系、ASTRA FOOD PLANのぶぎん・NCB・飯能信金系 |
| 保険系・金融グループの投資会社 | GTNのSOMPO Growth Partners、フライルのAflac Ventures Japan・日本郵政キャピタルなど |
銀行の融資と系列投資会社の出資を一つの手法にまとめない。ヘンリーは地方銀行による融資が11億円、地銀系VCによる出資が1億円と内訳まで確認できる例だった。
出し手の属性マトリクス
対象は掲載23件で、新会社設立だけへの出資は含めない。●は出し手の名称あり、○は属性のみの記載を表す。各案件・各列を1件と数え、複数属性は重複計上する。空欄は、その属性の参加者が存在しないという意味ではない。GTNは追加クローズで参画を確認できた5者、フライルは「シリーズA以降の投資家」の9者を対象とし、後者の今回の個別引受内訳は分からない。

| 会社 | 独立系VC | 事業会社・CVC | 金融系 | 大学系 | 政府系・公的 | 個人 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| TAIMATSU | ○ | |||||
| セレイドセラピューティクス | ● | |||||
| YEN TOWN MARKET | ● | |||||
| ネッスー | ○ | ● | ||||
| ファームノート | ● | ● | ||||
| ファイテン | ● | |||||
| GTN | ● | ● | ||||
| Terra Charge | ● | |||||
| CyCal | ● | |||||
| Essen | ● | ○ | ○ | |||
| Tokyo Artisan Intelligence | ● | |||||
| Subliminal | ● | ● | ||||
| ヘンリー | ● | |||||
| Every WiLL | ● | |||||
| フライル | ● | ● | ● | |||
| Helical Fusion | ● | ● | ● | |||
| indent | ● | ● | ● | ● | ||
| 誠信GLOCAL | ● | |||||
| Ocean | ● | ● | ||||
| ASTRA FOOD PLAN | ● | ● | ||||
| ザ・ファージ | ● | ● | ● | |||
| MUKA | ● | ● | ||||
| RadioNano Therapeutics | ● | ● |
事業会社・CVC14件、金融系13件、独立系VC9件、個人3件、政府系・公的2件、大学系1件。うち名称が明記された案件はそれぞれ12件、12件、9件、2件、2件、1件である。名称の記載がない参加者を含む構成は分からない。
金融系には銀行・保険・信金系VC、金融グループ傘下の投資会社・CVC、リース会社を含む。LP(ファンドへの出資者)が金融機関であることだけを分類根拠にせず、投資主体・運営者の系列で分けた。ソーシャルXインパクトファンドは北國銀行グループのQRインベストメントが共同運営するため金融系とした。商工中金も金融系に置き、日本政策金融公庫は政府系・公的に置く。
KURONEKO Innovation Fund、BRICKS FUND TOKYO、阪急阪神イノベーションパートナーズ、EX Innovation Fund、Teikoku Venturesなどは、スポンサー企業のCVCとして事業会社・CVCに置く。保険系のSOMPO Growth PartnersとAflac Ventures Japan、日本郵政グループの投資会社である日本郵政キャピタルは金融系とした。
高輪地球益ファンドは運営者の系列から独立系VCとし、EssenのNOBUNAGA Raise Fundも今回の分類では独立系VCに置く。これは9月26日〜10月2日の号で原文の「地方銀行系」に従った扱いとは異なり、属性件数を号の間で直接比較できない。KKT・ケップルグループ・KIBOW社会投資ファンドも独立系VC列に含めた。イークラウドNEXTは個人向け個別銘柄ファンドとして個人列に置いているため、この列は直接出資の個人だけを数えたものではない。
Every WiLLの一般社団法人日本スタートアップ支援協会は6列のいずれにも含めず、表の外にある出し手として扱った。ASTRA FOOD PLANへのコメントの寄稿者など、引受先と確認できない人は数えていない。
対象外・別建ての動き
GTNとOceanは追加クローズを1件ずつ数え、金額はそれぞれ累計取引総額・シリーズAラウンド合計として別掲した。GTNは7月21日発表の1stクローズに続く2nd・3rdクローズをまとめて発表した。10月6日の発表は「累計取引総額約35.5億円」とし、融資銀行を「借入枠」として記載している。株式譲渡を含むと明記したのは7月21日の1stクローズ発表である。先行分を含む累計取引総額から、会社に今回入った額は分離できない。先行公表額との差し引きも行わない。
Oceanは9月15日発表の1stクローズに続く2ndクローズで、両者を合わせて約5億円。1stクローズは9月12日〜18日の号で掲載済みだが、今回は別の払込として1件を数え、今回額は分離できないままとした。
掲載外の型と件数は下表のとおり。同一案件の複数発表を畳んだ案件数を使い、除外した個社名は挙げない。
| 掲載外の型 | 案件数 |
|---|---|
| 払込・実行前の契約・合意・決定 | 2件 |
| 私募債の非本人名義(銀行・株主名義の発表) | 1件 |
| 海外法人が受け手 | 2件 |
| 既存株取得のみ(会社への払込なし) | 1件 |
| 資本業務提携の締結のみ(出資・払込の記載なし) | 4件 |
| 新会社設立・設立出資 | 2件 |
| 補助金・助成の採択 | 2件 |
| 上場企業自身の調達・受領(その他) | 1件 |
| 上場企業の子会社・払込前 | 1件 |
| 続報(先行週に一次発表あり) | 1件 |
| 大企業(純資産100億円以上の未上場) | 1件 |
| 募集開始・払込前の公募(デジタル社債等) | 1件 |
| 範囲外その他(企業以外が受け手) | 1件 |
| 受け手・実行時点を確認できず掲載見送り | 1件 |
| 上場企業自身の調達(TDnet 等の適時開示) | 19件 |
| 資金調達でない発表(提携・M&A・セミナー等) | 163件 |
大企業として外した1件は、純資産100億円以上の未上場企業による借入だった。重複する出資側・別媒体の4発表は同一案件にまとめ、独立した掲載件数にしていない。この内訳は今回の確認範囲であり、市場全体を網羅するものではない。
この週をどう読むか
今回額が判明した11件では、借入・デットのみの3件が金額の6割強を占めた。EV充電の設置拡大、ブランドの国内外展開、蒸留所建設という事業に借入・デットが使われ、病院向けシステムや創作支援、血糖データを使う事業では株式と融資が組み合わされた。
その一方で、ラウンド合計・累計取引総額しか分からない2件と金額記載なし10件がある。公表額の構成を、掲載23件すべての資金構成や市場全体の調達環境とみなすことはできない。銀行・投資会社の名前だけでなく、融資なのか出資なのか、今回分なのか先行分を含むのかを分けて読む必要がある。
範囲・計算方法・出典
この連載が扱う範囲
国内の未上場企業による外部からの資金受け入れに関する発表を対象とし、株式、新株予約権、融資、私募債を含む。純資産100億円以上の大企業などは対象外。本号は日本時間2026年10月3日0時00分以上、10月10日0時00分未満の発表日で区切った。発表日は10月5日3件、6日9件、7日3件、8日3件、9日5件で、土日は0件だった。
払込・実行前の契約・合意・決定は数えない。この扱いは2026年9月26日週の号から適用する。私募債・借入は発行体・借り手本人が自ら発表したものに限り、株主・親会社・銀行名義の発表は範囲外とする。報道のみも範囲外。出資側のみの発表は、出資・払込の実行を確認できる場合に限って掲載し、本人発表がない旨を示した。今号の誠信GLOCALは例外として資本提携・株式取得の発表を掲載し、新株か既存株か不明という留保を付けた。
発表日と払込・実行日は区別する。indentは4月実行、ファームノートは9月28日、ファイテンとASTRA FOOD PLANは9月30日実行で、いずれも当週の発表として数えた。同一案件の本人・出資側・別媒体の発表は1件にまとめる。同じラウンドでも別払込の追加クローズは当週1件と数えるが、先行分を含むラウンド合計や累計のみの額は別掲とする。
計算方法
今回額11件を円単位で足した22,560,000,000円を、225.6億円と表示した。この合計はこの週の入金額を示すものではない。Subliminalの「約4,000万円」は計算用に40,000,000円として採用しており、合計の入金額が円単位で確定したという意味ではない。金額記載なしを0円とはせず、融資枠・株式譲渡分・先行クローズの額・補助金は加えていない。
中央値は金額が判明した11件を未丸めの円単位で並べた6番目、indentの1,100,000,000円で、11億円と表示した。借入・デットのみ3件の割合は14,050,000,000円÷22,560,000,000円=62.3%。株式+借入の一体調達は合算額を1回加え、株式のみの額とは扱わない。
決算公告は10月9日までに公表された収録分を用い、各社の最新決算期末を表示した。絶対値1億円未満は小数2桁、それ以上は小数1桁。被保険者数は社会保険の月次データで、時点と取得日を併記した。登記受付は2025年10月10日〜2026年10月9日を対象とし、収録された受付1件を1記録と数え、1件に複数の種類が併記されていても分けない。
出典
個社の事業・調達額・手法・使途は、対象週の本人および同一案件の出資側・親会社の発表による。先行クローズの額は過去の本人発表(Helical Fusion 2026年4月28日・GTN 7月21日)による。Oceanの1stクローズは9月15日の本人発表により確認したが、同発表に金額の記載はない。主な一次発表を以下に示す。
- TAIMATSUの発表(10月5日)。
- セレイドセラピューティクスの発表(10月5日)。
- YEN TOWN MARKETについての親会社STARBASEの発表(10月5日)。
- ネッスーの発表(10月6日)。
- ファームノートの発表(10月6日)。
- ファイテンの発表(10月6日)。
- GTNの発表(10月6日)。
- Terra Chargeの発表(10月6日)。
- CyCalへの出資についてのクエイルの発表(10月6日)。
- Essenの発表(10月6日)。
- Tokyo Artisan Intelligenceの発表(10月6日)。
- Subliminalの発表(10月6日)。
- ヘンリーの発表(10月7日)。
- Every WiLLの発表(10月7日)。
- フライルの発表(10月7日)。
- Helical Fusionの発表(10月8日)。
- indentの発表(10月8日)。
- 誠信GLOCALの発表(10月8日)。
- Oceanの発表(10月9日)。
- ASTRA FOOD PLANの発表(10月9日)。
- ザ・ファージの発表(10月9日)。
- MUKAの発表(10月9日)。
- RadioNano Therapeuticsの発表(10月9日)。
会社別の財務残高は収録決算公告、被保険者数は社会保険適用事業所の月次データ、登記受付は商業登記の受付情報による。